理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 586
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内部障害系理学療法
Dynamic MRIを用いたCOPD患者の横隔膜運動の解析(第1報)
―重症COPD患者一症例での検討―
*冨田 和秀, 居村 茂幸, 阪井 康友, 門間 正彦, 大瀬 寛高
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抄録
【目的】COPD患者に対する代表的な呼吸法指導の一つに,腹式呼吸がある。本呼吸法は,補助呼吸筋が動員された胸式優位の呼吸様式から横隔膜優位の呼吸様式に変更する呼吸法であり,指導なしでは習得は困難である。さらに臨床ではCOPD患者の中には指導を行っても,腹式呼吸を熟達できない症例も存在する。腹式呼吸はGOLDのステージ1の重症COPD患者では返って呼吸効率を悪化させ,息切れ感を増大させる可能性があり,ステージ2A・3Bの中等症COPDに適応があると報告されている。
今回,本研究では重症COPD患者における横隔膜運動に着目し,Dynamic MRIによる客観的評価にてその運動を検証した。
【方法】本実験の研究協力者は,本研究の目的と方法を十分に理解し,同意を得られたCOPD患者1名(age: 59歳,BMI 16.5kg/m2,%VC 81.3%,FEV1.0% 21.4%,%FEV1.0 18.9%,RV/TLC 51.8%)。GOLDの重症度判定において,ステージ3の重症COPDに判定される症例である。
実験手順は,最初に対象者に対し,理学療法士が安静呼吸,最大深呼吸,腹式呼吸の呼吸様式の指導と練習を行わせた。腹式呼吸介入においては,斜角筋と横隔膜の筋活動を視診・触診より判断し,腹式呼吸の程度を段階的に評価する千住らの腹式呼吸の評価法を用いて指導を行った。
次に,MRI装置(Philips社Gyroscan ACS-NT Power Track 3000)を用い,安静呼吸時,最大深呼吸時,腹式呼吸介入時の呼吸様式をそれぞれ背臥位で実施させ,各々,30秒間の呼吸運動を0.5秒間隔で,撮像した。撮像部位は右横隔膜とし,気管支分岐を通る冠状面スライスと右鎖骨中央部を通る矢状面スライスを選択した。撮像にはfast spin echo法におけるT2強調画像をrepetition time 480msec,echo time 40msecにより撮像した。取得した画像は,パソコン上に取り込み画像解析ソフト(Scion社製Scion Image)を用いて解析した。
横隔膜・胸郭運動の解析方法は,呼気位と吸気位のそれぞれの移動距離を求め,それらを横隔膜・胸郭の運動距離として,比較の上検討を加えた。
なお,本研究は茨城県立医療大学倫理委員会によって承認を得た研究である。
【結果と考察】本症例における横隔膜運動は,安静呼吸と最大深呼吸時に差はなく,最も動きがある部位でも約10から15mmの運動しか認められなかった。重症COPD患者の横隔膜運動では,安静呼吸・最大深呼吸時よりも腹式呼吸介入時で顕著な減少傾向を示していた。これにより,肺過膨張所見により横隔膜が平坦化した重症COPD患者においては,腹式呼吸介入は有効ではない可能性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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