理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 597
会議情報

内部障害系理学療法
理学療法を用いたターミナルケアーを経験して
*出口 裕道藤井 亜希子鈴木 典子伊藤 秀隆井上 登太
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】淀川キリスト教病院 仲PTは、末期癌患者に対する理学療法とし、1.疼痛と苦痛の緩和 2.ADLの拡大 3.精神的な援助 によるアプローチを勧めている。これにもとづき当グループ井上呼吸内科医よりさらに患者に対するナラティブセラピーの参加者とし 1.除痛・除苦処置を行う 2.患者家族に対して具体的な手技を指導する 3.患者への目標を設定し、周囲の人々とともにそれに向けて努力することにより、患者のみならず家族に対しても満足感を与える 4.患者・家族に対し1日に複数回接することにより信頼関係を作るの4点を指導されアプローチを行っている。
【症例】66歳男性。交通外傷にてくも膜下出血受傷、認知障害の既往の後、腎臓癌、肺扁平上皮癌発症、他院にて腎臓摘出術、肺葉摘出術、放射線化学療法施行後退院の後、数ヶ月の経過を経て井上医師外来を呼吸困難感主訴に受診、肺腺癌stageIVによる両側悪性胸水と診断される。ベストサポーティブケアーを選択、在宅死を望まれた。
【経過】胸腔内化学療法癒着療法施行にて全身状態安定後、早期の自宅退院・呼吸状態安定目的理学療法開始。胸部理学療法、運動機能・体力改善エクササイズを20日間施行後自宅退院、その間毎朝の医師とのブリーフィングにて病状把握に努め一日複数回の病室訪問を心がけた。退院後、4週1度の内科受診に合わせ理学療法指導継続。患者指導に加え認知障害に伴い介護負担が増大したキーパーソン妻に呼気介助、排痰介助、起居動作介助方法等の指導を行った。退院後23週本院救急外来にて主治医、家族が見守るなか死去された。
【考察】終末期における身体機能低下・死への恐怖に対するストレスなどにより理学療法士としての対応方法に苦慮する症例を多く経験する。井上医師よりの指導より患者のみならずキーパーソンを含めた家族を対象に入院期間中においては毎日患者・家族との複数回のコミュニケーション、医師とのブリーフィング機会をもち全身状態の把握、信頼関係の獲得、患者家族が抱える問題点の理解を行っている。本症例において家族に見守られた在宅死が迎えられ、同時に家族および私たち医療従事者の充実感を得られ患者の死を達成感とともに迎えることができた要因として、患者に対する徒手療法のみならず家族に対する介助指導等の病状改善に向けての係わり合い機会の設定、病状の正確な理解、信頼関係の構築を行えたことがあげられた。
著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top