抄録
【はじめに】米国公衆衛生局によると心臓リハビリテ-ションとは、医学的な評価、運動処方、冠危険因子の是正、教育・カウンセリングからなる長期にわたる包括的なプログラムであるとされている。心疾患患者は、退院後に多くの不安を抱えているとされており、慢性期にも心理的対応が必要とされている。特に患者教育・カウンセリングは、冠危険因子是正に生活習慣が大きく関与することからも、より充分な説明と理解が必要である。入院期では、時間的な側面からも不十分であると考え、当院では退院後にも患者を対象に包括的リハビリテーションの場として平成16年度より心臓リハビリテ-ション教室(以下心リハ教室と略)を提供することにした。当院で行なっている心リハ教室について紹介する。
【方法・内容】入院中に心リハを行った患者を対象に郵送により受講の有無を確認、希望者に対して心リハ教室を施行した。講義・実技を行なうスタッフは医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士(運動指導士)と各部門にわたり包括的に行なう事を念頭に置いた。講義のスケジュールは、各部門それぞれ1時間とし、3時間の実技を含む計8時間で構成、1回の教室を2~3時間とし月1回、延べ3ヶ月間に渡り施行、年間を通して2クール施行している。講義・実技内容は疾病の病態から日常生活まで幅広い分野とした。具体的には、医師による心臓リハビリテーションの目的と方法を説明し動機付けを行う。理学療法士による適切な運動の仕方と実技指導。薬剤師による服用している薬の作用と副作用。栄養士による食事指導とモデルカフェテリア。看護師による日常生活上での諸注意。また、患者さんの声を取り入れ、心リハ教室に反映していくために講義毎に各部門が独自に製作したアンケート調査を行った。
【調査結果】独自のアンケ-トでは、食事に関すること、運動に関すること、病気に対する不安などに多くの回答が寄せられた。特に関心が高かったものを紹介すると、薬剤関係では作用と副作用、薬と相性の悪い食べ合わせなど。食事関係では減塩法、健康食品など、運動では、その効果と運動の大切さなどの意見が多く見られた。
【結論】アンケート結果からは、疾病や生活に対する理解、知識不足、疑問、講義に対する関心度など、入院中の指導だけでは不十分であると示唆された。また心リハ教室に対してプラスの意見が多くみられ、心疾患患者に対する退院後包括的患者教育は必要であると思われた。
当院の心リハ教室の現状紹介を行いたい。