抄録
【目的】虚血性心疾患のリハビリテーション(以下心リハ)の目的には生命予後の改善とQOLの改善が挙げられる。生命予後については多くの報告が見られるが、QOLに関する報告はまだ少ない。我々は外来の監視型運動療法を通して維持期の症例をフォローしている。今回参加者のQOL状況およびQOLを規定する因子について検討したので報告する。
【対象・方法】外来リハビリテーションに参加している虚血性心疾患患者28名(年齢69.9±8.2歳。男性23名、女性5名)。急性心筋梗塞21名、狭心症7名。左室駆出率(以下EF)56±15.4%。心係数2.8±0.7(l/min/m2)。リハ実施期間は6.1±4.2(年)。運動耐容能はAT酸素摂取量11.5±2.3(ml/kg/min)、最高酸素摂取量20.8±4.9(ml/kg/min)であった。QOL状況はMedical Outcomes Study36-Item Short-Form Health Survey(以下SF-36)を用いたアンケート調査(2004.10~11月)を実施した。a)50代、60代、70代の3群に分け、それぞれ年代別の国民標準値より偏差値を算出し、比較した。b)8つの下位尺度PF(身体機能)、RP(日常役割機能・身体)、BP(体の痛み)、GH(全体的健康感)、VT(活力)、SF(社会参加)、RE(日常役割機能・精神)、MH(心の健康)のスコアと年齢・EF・酸素摂取量との相関について検討した。ピアソンの相関係数を算出し、P<0.1で有意な相関とみなした。
【結果】a)50代ではPF51.8、RP48.8、BP58.3、GH44.7、VT53.3、SF51.9、RE52.8、MH51.8であった。60代ではPF51.2、RP51.8、BP55.9、GH48.4、VT59.2、SF51、RE53.2、MH56.3であった。70代ではPF55.5、RP54.3、BP56.3、GH52.1、VT51.6、SF53.4、RE53.9、MH52.6であった。偏差値50以下の項目は50代でのRPとGH、60代でのGHのみであった。70代ではすべて標準値を上回っていた。b)年齢ではVT、EFではPF、AT酸素摂取量ではPF、Peak酸素摂取量ではPF、VT、BPで相関が認められた。
【考察】a)国民標準値との比較では、比較的心リハ参加者のQOLは維持されていることが確認できた。特に70歳以上の参加者は一般同世代と比較してもQOLの制限を受けることなく、生活を営んでいることが推測され、高齢者に対しては外来心リハの存在は重要な役割を果たしていることが推測された。50代、60代でのGHの低さは長期予後に対する不安を示唆するものと思われる。b)今回の調査項目の中では最高酸素摂取量が最も多くの項目と相関していることが確認され、QOLを規定する大きな因子となっていることが推測された。