理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 731
会議情報

理学療法基礎系
前かがみ姿勢での引き上げ運動時における体幹・下肢筋活動
体幹前傾角度の違いによる変化
*石田 弘田邊 良平江口 淳子小原 謙一渡辺 進
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】前かがみでの作業は腰部障害を起こしやすく、体幹前傾角度が大きいと受動的な支持組織への負担が大きい。本研究の目的は体幹前傾角度を大きくして引き上げ運動を行った場合の体幹・下肢筋活動を明らかにすることとした。
【方法】対象は健常男性10名(平均年齢23.1±3.1歳)で同意を得て実験を行った。負荷には竹井機器社製の背筋力測定器を用いた。立位での引き上げ運動は膝関節を伸展位で体幹を前傾した肢位より行った。Noraxon社製の筋電計を用い、被検筋は右側のL3、L5脊柱起立筋、腹直筋、腹斜筋群、広背筋、大殿筋、大腿二頭筋とした。前傾30°で最大随意発揮(MVE)を5秒間行い、MVEの30%と60%を決定した。ハンドルバーを持つのみを0%とした。各筋の最大随意収縮(MVC)を5秒間行い、前傾30°、45°、60°で、それぞれMVEの0%、30%、60%を5秒間行った。中間3秒間の平均積分値をMVCで正規化し(%MVC)、統計処理は負荷と前傾角度の二元配置分散分析、多重比較を行った(p<0.05)。
【結果】すべての筋で負荷のF検定に有意差があった。腹直筋と腹斜筋群の0%MVEと30%MVEの間に有意差がなかった以外はすべて負荷が大きいほど%MVCは有意に大きかった。前傾角度のF検定に有意差があったのはL3、L5脊柱起立筋、広背筋、大腿二頭筋で、広背筋には交互作用があった。L3脊柱起立筋の%MVCは30°が51.6%、45°が46.5%、60°が33.3%で、30°と60°、45°と60°の間に有意差があった。L5脊柱起立筋では30°が47.4%、45°が41.4%、60°が32.5%で、30°と60°の間に有意差があった。大腿二頭筋では30°が32.6%、45°が42.3%、60°が43.9%で、30°と45°、30°と60°の間に有意差があった。広背筋の一元配置分散分析で前傾角度のF検定に有意差があったのは30%MVEと60%MVEであった。%MVCは30%MVEの30°が7.3%、45°が11.3%、60°が10.5%で、30°と45°、30°と60°の間に有意差があった。60%MVEでは30°が17.4%、45°が28.6%、60°が30.2%で、30°と45°、30°と60°の間に有意差があった。つまり、体幹前傾角度が大きいと脊柱起立筋の%MVCは減少し、広背筋と大腿二頭筋では増加した。
【考察】負荷が大きいほど筋の活動量は大きくなるため、すべての被検筋が引き上げ運動に関与していると考えられる。前傾角度が大きいと脊柱起立筋の筋活動は減少したが、広背筋や大腿二頭筋が活動を増加させることで代償したと考えられる。
【まとめ】体幹前傾角度が大きい場合、脊柱起立筋は負荷に応じた活動増加を示さず体幹伸展モーメントは減少するが、肩関節伸展モーメントや股関節伸展モーメントを増加させることで代償していることが示唆された。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top