理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 74
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神経系理学療法
脳卒中患者における姿勢保持と認知課題の影響
二重課題法を用いて
*笠原 伸幸冷水 誠西田 真美中谷 仁美中原 栄治
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抄録
【目的】近年、二重課題法を用いた研究により、健常者や高齢者が姿勢を保持する際、運動、感覚を統合するためには注意が必要だということが示唆されている。そして、実際のADLでは、姿勢保持や動作を行うとともに、他の課題へ注意を配分することが必要になる。また、脳卒中患者では、健常者より姿勢保持に多くの注意が必要であり、そのことがADLを障害していると考えられる。
脳卒中患者を対象としたものは、Brown(2002)により静的姿勢制御に対する注意要求が、健常者と比較して増大すると示された。しかし、この報告は症例数が少なく、二次課題に対する注意要求が少ないと思われる。そこで本研究は、症例数を増やし、二次課題を十分に注意が必要と思われる意味流暢性課題を用い、姿勢保持課題(一次課題)に対する注意の影響について検討した。
【対象と方法】対象は屋内歩行が自立もしくは修正自立している発症後1年以上の慢性期片麻痺患者39名(男性29名、女性10名、右片麻痺14名、左片麻痺25名)とした。姿勢課題は坐位、立位、閉脚立位で、意味流暢性課題は動物、スポーツ、職業のカテゴリーとした。対象者は各姿勢保持中に、ランダムに割り当てられたカテゴリーの単語を出来るだけ多く想起した。1分間の課題実施後、想起した単語のうちカテゴリーに属さないものは除外した。各姿勢課題にて全対象者の想起単語数を合計し、坐位、立位、閉脚立位の3群間にて想起単語数を、反復測定の一元配置分散分析を用い比較した。多重比較にはDunnett法を用い、坐位と立位、坐位と閉脚立位の想起単語数をそれぞれ比較した。なお、統計学的有意水準は5%未満とした。   
【結果】3群間で有意な差が認められた(p=0.003)。また、Dunnett法の結果、座位と閉脚立位の間で有意な差が認められた(p=0.001)。
【考察】今回の結果から、坐位に比べ閉脚立位での一分間の生成語数が少ないことが分かった。これは、普段からよく行っている安定した坐位よりも、閉脚立位では姿勢保持のために注意が必要であったと考えられる。このことから、脳卒中患者が再びADLを自立するためには、周りの環境への注意配分が可能な姿勢保持能力が必要であると推察される。
 今後の課題として、屋内歩行より注意の配分が必要な屋外歩行の自立度との関係や、健常者と片麻痺患者の姿勢保持と認知課題の影響について比較検討していきたい。


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© 2006 日本理学療法士協会
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