理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 145
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骨・関節系理学療法
当院における鼠径周辺部痛症候群に対するアスレティックリハビリテーション
*小田 桂吾平野 篤藤田 茂樹
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抄録
【目的】スポーツ選手の訴える鼠径部周囲の痛みは慢性化する場合があり、そのアスレティックリハビリテーション(以下アスリハ)は非常に難渋する場合が多い。今回、当院で試みたダイナミックアライメントに注目したアスリハを紹介する。
【対象】2004年1月から2005年10月までに当院のスポーツ外来を受診し、明らかな原疾患がなく、鼠径周辺部痛症候群と診断され、競技復帰まで当院でアスリハを行ったスポーツ選手21名(平均年齢16.3±3.3歳、種目:サッカー19名,野球1名,陸上1名,全員男性)を対象とした。
【方法】初期評価:(1)評価項目は問診(現病歴,自覚症状)体幹、股関節の柔軟性,股関節可動域(以下ROM)ストレステスト(股関節屈曲,伸展,外転,内転,外旋,内旋など),圧痛点の確認,立位でのダイナミックアライメント等を評価した。(2)リハビリテーションの流れ:股関節周囲の筋緊張、ROM制限改善を目的とした鍼灸マッサージ師による治療及び理学療法士による物理療法から開始、日常生活レベルの自発痛を改善させた後に、症状に合わせたアスリハを開始。特に疼痛を誘発しないよう注意しながら股関節周囲及び体幹の筋力強化と、ダイナミックアライメント改善を目的としたバランストレーニングを積極的に行い、徐々に練習量を増加しながら実際のスポーツ動作を行い、アスリハを進めていった。
【結果及び考察】疼痛は片側性では右側10例、左側7例,両側性は4例。選手は主に恥骨上枝,睾丸近位部に自発痛を、ストレステストでは股関節内転、屈曲で痛みを訴えた。触診では内転筋群の筋緊張亢進、股関節のROM制限が認められた。ダイナミックアライメントにおいては片脚立位でのTrendelenburg’s sign、スクワット,ランジ動作でのknee inが見られ、アスリハ開始当初からバランストレーニングを積極的に行い、体幹と下肢の協調的な運動を行わせることで復帰時には動作時痛が消失し、ダイナミックアライメントが改善している傾向が見られた。また鼠径部痛と内転筋群の筋緊張は競技復帰後も常に変化する傾向があるので症状が改善しても予防に効果的なトレーニングの手段になりえるよう今後もプログラムを検討したいと考える。

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© 2006 日本理学療法士協会
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