理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 144
会議情報

骨・関節系理学療法
重心動揺からみた股関節疾患術後患者の経時的変化と歩行能力との関係性
*山本 紘靖豊田 平介守 由美角 ちとせ山城 緑新美 英里東村 幸枝山﨑 美保
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】臨床場面において術後の整形外科疾患患者の歩行能力を評価していくことは歩行自立度の検討や理学療法の効果を考える上で必要である。歩行能力を評価する上では直接的な歩行能力の評価に加え、バランス能力を考慮に入れる場合が多い。これまでにバランス能力と歩行能力との関係性を重心動揺計で検討したものはあるが、その関係性は曖昧であると思われる。そこで今回、重心動揺計を用いて股関節疾患患者の術後の経過を縦断的に測定し、歩行能力の変化とバランス能力との関係性を検討し、若干の考察を加え、ここに報告する。
【対象】当院整形外科にて手術を行った股関節疾患患者6名(男性1名、女性5名、平均年齢67.3±10.8歳)。また対象者をケースA・B・C・D・E・Fとした。
【方法】術後から1週間経過した時点より以下の計測を行った。重心動揺計測として対象者は前方注視で30秒間静止立位をとり重心動揺計(株式会社SAKAI EAB-100)を用いて総軌跡長・単位面積軌跡長・実効値面積を算出した。サンプリング周波数は20Hzで行った。また同時に歩行能力の指標として独歩もしくは転倒の危険性がある場合はT字杖での10m歩行速度と歩数を計測した。そして歩行速度の変化と重心動揺計での各パラメータの変化に対してピアソンの相関係数の検定を行った。
【結果】計測を行えた回数はケースA~Eで5回、ケースFが7回であった。歩行速度と重心動揺計でのパラメータで有意な相関を認めたのは、ケースFにおいて総軌跡長と歩行速度であった(p<.05)。重心動揺計のパラメータ内で有意な相関を認めたのは、ケースA~Fの全ケースで単位面積軌跡長と実効値面積に負の相関を認めた(ケースA~Eではp<.05,ケースFではp<.01)。またケースFにおいて総軌跡長と単位面積軌跡長に有意な相関を認めた(p<.05)。
【考察】結果より、ケースFにおいてのみ歩行速度と総軌跡長の間に有意な相関が認められた。これはケースFに既往的特徴があったこと(先天性股関節脱臼・極度の脚長差)が関係していると考えられる。そのため総軌跡長と単位面積軌跡長にも有意な相関を認めたと思われる。しかし他のケースでは歩行能力の変化と重心動揺計でのパラメータに有意な相関を認めず、関係性を見つけるには至らなかった。重心動揺計のパラメータ内で単位面積軌跡長と実効値面積が全ケースで負の相関が認められた。このことは、両パラメータの変化をみると増減に対して交互性を認めたため有意な相関につながったと考える。よって一方向的なパラメータ変化の歩行速度に対しては相関を認めなかったと考える。しかし、この変化は歩行能力の変化を引き出しているパラメータと思われる。歩行能力と重心動揺計の結果を関連させて考える場合には単に量的な部分だけではなく、そのパラメータの変化との関係性を質的に明らかにしてことが必要だと考える。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top