理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 146
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骨・関節系理学療法
股関節に障害を有する患者の運動習慣と自己効力感との関係
*浅井 剛小野 怜平田 総一郎山田 実西山 隆之荷田 啓一郎
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抄録
【目的】
地域在住高齢者の運動習慣と自己効力感(運動セルフエフィカシー)に関する報告は多くなされている。しかし、特徴的な身体機能障害を生じる整形疾患患者を対象にそのような関係を検討した研究は少ない。そこで、本研究では、股関節に障害を有する患者を対象に、運動習慣と自己効力感の関係について検討を行った。

【方法】
対象は、神戸大学病院整形外科外来に通院し、股関節に障害を有する患者71名(年齢61±12 BMI22.6±3.9)であった。測定は質問紙を用いて行った。測定項目は、運動習慣の有無、自己効力感、医療的サポート、環境認知、社会的サポート、心理的要因(SF8の下位2項目、全般的健康感および心の健康)、生活形態(独居もしくは同居)、日本整形外科学会股関節機能判定基準(以下JOAと示す)の下位項目の歩行および疼痛、性別であった。解析は、単回帰ロジスティック解析にて、運動習慣と運動セルフエフィカシーの関連を確認した後、従属変数に運動習慣、独立変数に上記質問紙項目を投入した多重ロジスティック解析を行った。データ解析はJMP ver.5.0を用いて行い、有意水準は5%未満とした。

【結果】
統計学的に有意な関係を認めた測定項目は、自己効力感(p<0.01)および全般的健康感(p<0.05)であった。負の傾向が見られた項目は、JOA下位項目の歩行であった。

【考察】
股関節障害を有する患者の運動習慣を決定する因子として、自己効力感と全般的健康感があげられた。この結果より、股関節に障害を有する患者では、自己効力感や生活全般の健康感が高いものほど運動習慣があると考えられた。従って、運動習慣の定着には、運動機能の障害を有するものでも、地域在住高齢者と同様に、自己効力感が重要な要因であることが示唆された。

【まとめ】
股関節に障害を有する患者の運動習慣に影響を及ぼす因子として、自己効力感が重要な因子であることが確認できた。
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© 2006 日本理学療法士協会
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