理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 149
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骨・関節系理学療法
大腿骨頚部骨折患者における手術後の歩行能力向上経過に関する検討
*朝山 信司
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抄録

【目的】大腿骨頸部骨折を受傷し、手術加療および理学療法を実施する患者は、歩行の自立をゴールとすることが多い。歩行能力を決定する要因は下肢の支持性やバランスなど多くの要素を含んでいると思われる。今回、大腿骨頸部骨折の受傷者が手術後、歩行を獲得する過程でどのような要素が歩行能力に関与するのかを継時的に観察し、その影響を検討することを目的とした。
【方法】大腿骨頸部骨折を受傷し、手術(Compression hip screw)とその後の理学療法を受けた患者2名(AおよびBとする)を対象とした。当院クリテイカルパス(以下CPとする)では術後1週より歩行練習を開始するとしている。対象者AはCPに従い理学療法を実施した。一方、対象者Bは整形外科主治医の指示により予定を1週遅らせて歩行練習を実施した。手術後、患者が安定した立位および杖を使用しての歩行が可能となった時点で、立位、歩行に影響する要素を測定した。歩行能力の指標として20メートル歩行スピード、静的バランスとして安静立位での重心動揺距離および面積、動的バランスとしてTUG(Timed Up and Go)テスト、下肢の支持性として自然な立位における手術側下肢の体重に対する荷重割合を測定した。初回の測定後より退院まで一週間おきに同様の測定を実施して経過を観察し、各要素との関係を検討した。
【結果】対象者A、Bともに共通して次のような傾向がみられた。訓練期間を通じて歩行スピードは向上していた。静的バランスについては一定の傾向がみられなかった。自然な立位時における手術側下肢の荷重割合は、歩行開始早期に大きくに向上していた。対象者A、Bともに測定開始当初の一週間は他の期間よりも2倍以上の改善がみられた。TUGテストの結果についても歩行開始早期に急激に向上し、その後も徐々に向上を続けた。
【考察】症例A、Bともに歩行練習開始早期に手術側下肢の支持性が大きく改善している。これは、骨折の受傷、手術加療によりしばらく中断されていた下肢への荷重が、歩行を再開したことにより、急激に改善をしたものと考えられる。TUGテストには直線的な歩行にはあまりみられない体重の大きな上下移動や側方への転換など、動的にバランスをコントロールするための重要な要素を含んでいる。対象者A,Bともに歩行練習の初期の段階で手術側の下肢の支持性が大きく向上し、TUGの結果が改善しているのは、動的バランスが下肢の支持性による影響を強く受けているためではないかと考えられる。
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© 2006 日本理学療法士協会
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