理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 151
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骨・関節系理学療法
大腿骨頸部骨折術後における血清アルブミン値の推移
*谷口 忍松原 淳一橋本 洋一郎本田 正美国中 優治壇 順司
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抄録
【目的】在院日数の短い急性期医療を担う当院においては、手術後の効率的な理学療法の展開を念頭に進めている。運動療法を実施する上で栄養状態などの全身状態は重要な因子と考えられ、これらを加味したアプローチは必須である。そこで、血清アルブミン値の推移を外傷群(大腿骨頚部骨折群)と機能再建群(人工関節施行群)にて調査・比較したところ、若干の知見を得たのでここに報告する。
【対象】大腿骨頚部骨折後手術を施行した178例(81.3±8.7歳)をA群とし、変形性股関節症にて全人工股関節置換術・変形性膝関節症にて全人工膝関節置換術を施行した79例(73.9±6.1歳)をB群とした。
【方法】1)過去約2年間のA群とB群の血清アルブミン値を、入院時または入院前(以下、入院時)・手術後・術後2週から退院時(以下、退院時)ごとにMann-WhitneyU検定により比較した。2)各群の時期による値の変化を多重比較検定にて行なった。3)両群において、時期別に低栄養状態を示す割合を抽出した。なお、東京都老人総合研究所の提案する3.8g/dl(以下、単位略)を低栄養状態のスクリーニングポイントとした。
【結果】1)入院時のA群は3.4±0.38、B群は4.1±0.28、手術後のA群は2.8±0.47、B群は2.9±0.26、退院時のA群は3.6±0.37、B群は3.7±0.31であった。入院時・手術後においては2群間に有意差がみられた(P<0.01)。2)A群では入院時に比べ手術後の値は低下し、退院時の値は上昇し最も高値となった。B群では入院時に比べ手術後の値は低下し、退院時の値は上昇したが入院時の値より低値であった。両群共に各時期において有意差がみられた(P<0.01)。3)入院時のA群80%、B群12%、手術後A群97%、B群99%、退院時A群63%、B群62%であった。
【考察】入院時のアルブミン値は、両群に有意差がみられ、A群が低値を示した。これは低栄養状態を示す割合がB群で少なかったことからも、骨折による出血や点滴などが原因と考えられる。手術後は、両群に有意差はみられたが平均値の差はわずかであり、低値を示す割合が両群とも90%を超えることから、手術においては出血及び点滴・輸血などで低値を示すことが確実であるといえる。退院時は、手術後低下した値が2から4週経過後も低値を示し、両群に有意差はみられなかったことからも栄養状態の改善が不十分であったと考えられる。今回の調査で、両群共に手術後から退院時までの期間は低値を示し、筋力増強運動を実施する上で栄養状態と関連することが明らかとなった。従って、運動の効果をより効率良いものとするためには、他職種との連携による栄養状態の把握とその積極的な介入が必要であり、退院後のフォローを含め日常からの把握は、転倒予防に重要であることが考えられた。
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© 2006 日本理学療法士協会
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