抄録
【目的】 第40回本学会で高齢整形疾患患者に対する6分間歩行テスト(6MWT)について報告した。今回は持久力トレーニングの介入で、6MWTに有効な変化があらわれるかを明らかにする。
【方法】 対象は、当院に通院または入院中の整形疾患を有する高齢者34名で、研究の趣旨を説明し同意を得た。持久力トレーニングを行ったものを介入群23名(女性18名、男性5名、年齢79.6±6.6歳)、行わなかったものを対照群11名(女性9名、男性2名、年齢81.5±5.0歳)とした。各群内の疾患部位の構成比率に差はなかった。持久力トレーニングは、対象の疾患や障害の程度に応じてリカンベントタイプエルゴメーター、自転車エルゴメーター、トレッドミルなどの機器を選択し、週3日のトレーニングを3ヶ月間継続して行った。運動強度は自覚的に軽いからややきつい程度で、目標の心拍数(HR)は年齢別予測最大HRの50~70%、運動時間は10~15分とし、疼痛を誘発しないよう注意した。なお、両群とも個別の運動療法を介入期間中並行して行った。持久力の評価としては、6MWTを介入前後に実施した。測定項目は、総歩行距離、測定前後および測定中のHR、Visual Analog Scale(VAS)による疾患部位の疼痛、修正Borg Scaleによる自覚的運動強度とした。さらに、年齢別予測最大HRに対する測定中の最高HRの割合である%HRmaxを求めた。統計学的分析には対応のないt検定、対応のあるt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。
【結果】 介入前後の6MWTの総歩行距離は、介入群では280.2±117.5mから334.3±95.1mへ、対照群では278.2±117.2mから287.2±111.8mへと延長し、介入群で有意な変化を認めた(p<0.05)。修正Borg Scaleは介入前後で各群ともに差はなく、群間での差もなかった。介入群では介入前後において6MWT後のHRと%HRmaxに有意な増加を認めたが(p<0.05)、対照群では認められなかった。また、各群とも測定中に疼痛の増悪は認めなかった。
【考察】 介入群ではトレーニングにより、全身持久力を反映するといわれる6MWTの総歩行距離が延長した。さらに、介入前後で客観的運動強度である%HRmaxに増加が認められたため、6MWT中の心肺への負荷は介入後の方が大きくなったと考えられた。一方、自覚的運動強度は介入前後で変化を認めなかった。よって介入後には6MWT中に心肺系により高い負荷が加わっても、長い距離をより楽に歩行できるようになったと考えられた。
【まとめ】 高齢整形疾患患者に対する持久性トレーニングの効果が6MWTによって確認できた。