理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 164
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骨・関節系理学療法
整形外科疾患を伴う高齢者の起き上がり方法の検証
*出口 直樹岩本 久生金澤 浩吉田 和代島 俊也浦辺 幸夫白川 泰山
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抄録
【目的】高齢者のADL自立のためには、起き上がり動作に支障がないことが前提となる。起き上がり動作の分類は様々であり、對馬ら(2003)はMilani-Comparettiらの分類(1967)を用い健常高齢者を対象に起き上がり動作の観察を行った。その結果、両上肢で支持する起き上がり動作が多かったと報告している。しかし、その対象は健康な高齢者だった。本研究では、整形外科疾患を有する高齢者の起き上がり動作を観察し、疾患部位による差があるかを検討した。
【方法】対象は、当院に通院および入院している整形外科疾患を有する高齢者65名とした。平均年齢(±SD)は81.3±6.5 歳で、いずれも研究の趣旨に同意を得た。疾患部位は肩関節12名、腰部22名、股関節18名、膝関節13名で、歩行能力は屋内監視レベル以上だった。方法は、まず全ての対象にベッド上で背臥位から端座位までの動作を自由な方法で行ってもらった。起き上がり動作はMilani-Comparettiの分類を用い、完全に寝返りをして腹臥位となって起き上がるパターン(full rotation:以下FR)、体幹を部分的に回旋して起き上がるパターン(partial rotation:以下PR)、体幹を回旋することなしに片手または両手を床面について、あるいは支持なしで起き上がるパターン(non-rotation:以下NR)としたが、今回の対象はPRとNRの2群に分類できた。この2群で肩関節、腰部、股関節、膝関節の部位により違いがあるかを比較した。統計学的分析はχ2検定を用い、危険率5%未満を有意とした。
【結果】NR群は40名(62%)で、PR群は25名(38%)だった。疾患部位の内訳は、NR群で、肩関節疾患7名(18%)、腰部疾患12名(30%)、股関節疾患12名(30%)、膝関節疾患9名(22%)だった。PR群は、肩関節疾患5名(20%)、腰部疾患10名(40%)、股関節疾患6名(24%)、膝関節疾患4名(16%)だった。両群の疾患部位の構成比率には差がなく、起き上がり方法と疾患部位の間には有意な関係は認められなかった。
【考察】今回対象とした整形外科疾患を有する高齢者においては、疾患部位と起き上がり方法には関連がないことが示唆された。起き上がりパターンの先行研究で對馬ら(2003)は、年齢が増加するに従ってFRからPRへ、そしてNRへ移行する傾向にあると報告している。本研究の結果と異なる理由については明確にできなかったが、今回の対象は何らかの疾患を有しており日常生活での活動性の低下が影響しているのではないかと考えられた。起き上がり動作には、筋力、バランス能力、柔軟性などが関与していると言われており、今後はこのような観点から、起き上がり動作の分析を行っていきたい。
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© 2006 日本理学療法士協会
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