理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 180
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骨・関節系理学療法
腰痛患者へのマイオチューニングアプローチの試み
シングルケーススタディでの効果検証
*朝妻 恒法兒玉 隆之
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抄録
【目的】マイオチューニングアプローチ(以下MTA)は、徒手により疼痛や筋緊張の抑制を行い、関節可動域や歩行動作など日常生活動作を向上させるものである。本治療効果については多くの臨床研究報告により明らかになってきたが、その作用の発現を鎮痛の機序に基づいて報告したものはあまりみられない。疼痛抑制機構、特に内因性鎮痛機構は刺激により生じる鎮痛機構は様々である。TENSの生理学的基礎とされるgate control説を初めとし、脳の電気刺激で鎮痛が起こるSPA、エンドルフィンやエンケファリンに代表されるモルヒネ様ペプチドによる鎮痛作用、広汎性侵害抑制調節(以下DNIC)による下行性抑制などであるが、MTAにおけるこれらの機序の相互関係を示したものは少ないと思われる。そこで今回、筋・筋膜に起因する疼痛や筋緊張異常を主症状とし、多くの機能的・能力的障害を呈することから治療に難渋することの多い腰痛患者に対し、理学療法を3週間施行し、治療効果とその発現様式を疼痛・可動性・筋力・動作能力の面から経時的に評価・分析したのでここに報告する。
【対象】62歳男性。診断名は第4~5腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症。
【方法】B-BC-B法でのシングルケーススタディを用い、本研究期間は3週間とした。その1週目(期間B(1))と3週目(期間B(2))はコントロール期としてホットパック、筋力増強運動を行った。操作導入期にあたる2週目(期間BC)に上記の理学療法プログラムへMTAを追加し行った。本症例の場合、圧痛点が右腰方形筋、左右多裂筋、右ハムストリングスであったためこれらの筋を責任筋とし、抑制部位を腹直筋、腹横筋、腹斜筋、左右中殿筋、右僧帽筋、右腓腹筋とした。効果判定として、訓練前・後に毎日、FFD、股関節・体幹の関節可動域、視覚的アナログスケール(VAS)を評価として行い、straight leg raising test(SLR)、徒手筋力検査(MMT)、治療に対する満足度、日常生活動作(寝返り・立ち上がり・洗顔・中腰や立位の持続・長時間の坐位・重量物の挙上・歩行)、自覚症状としてしびれ有無を研究開始時と各週の最終日に評価した。
【結果】疼痛とFFDに関しては、2週目の期間BCで速効的改善を示した。また、股関節・体幹の可動性・SLR・満足度は2週目以降に遅効的に改善を認めた。
【考察及びまとめ】今回、 MTAの及ぼす生体の内因性鎮痛機構に着目し、治療効果の発現様式機序を中心にその有用性を考えた。結果から、MTA導入時期にあたる期間BCでの疼痛とFFDの改善に認める速効的効果の発現様式は、DNICを中心としたものと考えられ、期間B(2)での可動域・満足度改善への遅効的効果の機序には、オピオイドによる下行性抑制系の関与・オピオイドペプチドによる視床下部機能作用によるものと考えられた。
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© 2006 日本理学療法士協会
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