抄録
【はじめに】岐阜県西濃圏域では、平成13年度より国庫負担事業とし医療・保健・福祉のより良い連携をめざして、西濃地域リハビリテーション支援体制整備推進事業(以下 事業)に取り組んでいる。当院においても事業開始当時より参画している。事業開始後4年を経過する平成16年度を区切りとして、各施設における活動を報告する機会として、ネットワークフォーラムを開催した。また、事業全体の実施状況を把握し、今後の事業展開の参考とするためアンケートを実施した。これを含めここに報告する。
【事業の概要および実績】事業の実施主体は岐阜県西濃地域保健所であり、広域支援センターを大垣市民病院、当院を含む4病院をサブセンターと指定している。事業は「誰もが住み慣れた場所で、いきいきと暮らすことができる地域づくり」を目標に、「関係機関のネットワークの構築」と「リハビリテーション実施施設の従事者の資質向上」の大きく2つの方向性をもって展開している。前者には広域支援センター連絡会議や検討会などを開催し、専門技術者の情報交換の場とした。平成16年度においてはこれらに加え、新たにネットワークフォーラムの開催、ネットワークブックの作成に取り組んだ。後者においてはリハビリテーション実施機関からの技術的相談に対応するため、事前相談や施設従事者間の交流・知識技術の普及を目的とした院内ミニ研修会を開催するとともに、各施設へ専門職種を派遣した。ネットワークフォーラムは、各センターと各保健・福祉施設のネットワークを強化するため、専門技術職員の支援を受け、学んだ知識及び技術の活用状況を報告する機会や、他施設の取り組みを知る機会を設けることを目的とした。実行委員会においては各センター側からのみではなく、当該関係機関からも参加を求め、可能な限り施設側に重点をおくように配慮した。また、今まで当該関係機関の情報共有が不十分であったため、連携を効率的にかつ円滑にする体制作りを目指しネットワークブックを当該関係機関に配布した。
【アンケートによる事業の評価】事業評価として、当該関係機関に対し質問票調査をおこなった。結果、派遣技術支援について有効は7割であり、医療機関と施設のつながりのきっかけとなった。院内ミニ研修会については、有効だった・どちらでもない共に約半数であり、開催の方法等については課題を残した。施設側からみて、事前相談においては、約8割が活用でき、事業を効果的に進めることができた。派遣技術支援については活用できたとする施設が7割を占め、職員の資質向上、現状の再確認ができた。
【まとめ】地域リハビリテーションのネットワーク化を図ることにより、当該関係機関相互の情報共有が成され、地域のリハビリテーションネットワーク円滑化の一助にはなっていると考えられる。しかし、事業評価を受けて、個々に検討すべき点があり課題が見受けられた。