理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 985
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生活環境支援系理学療法
地域リハビリテーション推進活動について
山口県宇部小野田圏域での活動を通じて
*綿谷 昌明伊藤 睦子
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抄録
【はじめに】
 平成11年3月に厚生労働省より地域リハビリテーション(以下,地域リハ)構想についてのマニュアルが各都道府県に配布された。平成14年度より山口県宇部小野田圏域での地域リハ推進協議会委員として,同圏域において地域リハ支援体制の構築に携わっており,その活動について報告をする。
【地域リハ支援体制】
 山口県では身近な地域におけるリハビリテーションシステムの構築を目指し,地域リハを推進するために平成13年3月に山口県地域リハ構想を策定した。その基本理念は生活の質(QOL),ノーマライゼーション,自立と支援の3つからなる。そして,基本目標としては保健医療福祉の連携による総合的なリハビリテーションサービスが提供される体制を県民の身近な地域において整備することとした。
 宇部小野田圏域においては平成13年に推進母体となる宇部小野田圏域地域リハ推進協議会を設置するとともに,平成14年には推進の方向性を示す連携指針を作成した。さらに,圏域の地域リハを推進するため,各機関との連携や様々な支援を行う宇部・小野田圏域地域リハ広域支援センターが平成16年7月山口県宇部健康福祉センターに設置された。同圏域の特色としては,理学療法などの施設基準を満たす病院等の医療機関や保健福祉施設,養成学校など,地域リハの専門機関などで構成された地域リハ協力機関連絡会議が設置されているところで,現在22の機関が参画し,研修会の企画・立案や講師派遣など,広域支援センターが実施する各事業に対して,支援・協力を行っている。
【活動状況】
 地域リハ広域支援センターによる平成16年度の活動状況としては,総合相談窓口の設置,退院情報連絡システムの周知,専門・関係機関等に向けた情報誌の作成,施設名簿の作成,関係機関等を対象とした研修会の開催,関係機関等が開催する研修会への講師等の派遣などが実施された。平成17年度では新たに広域支援センターホームページの開設,メールによる相談対応,市町等の広報誌を活用した啓発,地域住民を対象とした研修会の開催,相談窓口における情報提供などが追加された。さらに,ご近所ネットワークと題して,中学校区単位で地域住民に対して,地域リーダーを養成し,地域住民と関係機関との連携・支援を行っていくためのネットワーク作りに取り組んでいる。
【考察】
 今後の課題として,(1)市町の行う関連事業との連携強化(2)研修会を草の根的に実施していく必要性がある(3)協力機関を中心として地域住民を対象に啓発し,その輪を広げていく必要性がある(4)地域リハはなじみが薄いが,住民は具体的な技術提供を求めているため,ニードを把握し答えていく必要性がある(5)地域住民との連携が重要であり,小学校区或いは中学校区単位で核になるもの(人,施設等)を早急に作り,地域のネットワークを整備(ご近所ネットワーク)していくこと等が挙げられる。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
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