理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 932
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教育・管理系理学療法
理学療法学専攻学生の職業志向性の変化
VPI職業興味検査を用いて
*内田 賢一菅原 憲一鶴見 隆正
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抄録

【はじめに】深い洞察力と臨床感を持ち、人を愛する理学療法士へ学生を導くためには、学生が潜在的に持っている職業志向性を把握することが重要であると考えられる。今回、理学療法学専攻に平成15年に入学した第1期生の職業適性に関する3年間の変化について、若干の知見が得られたので報告する。

【対象と方法】平成15年4月に本学理学療法学専攻に入学した第1期生の学生20名のうち19名(男子学生10名、女子学生9名)に対して、年1回、毎年10月にVPI職業興味検査(以下VPI)を行ってきた。VPIは、米国において大学生の進路指導用検査として広く用いられている信頼ある検査法である。検査方法は、160の具体的職業を提示し、各々の職業に対する興味・関心の有無を回答させることによって、6種類の興味領域尺度(R:現実的、I:研究的、A:芸術的、S:社会的、E:企業的、C:慣習的)と、5種類の傾向尺度(Co:自己統制傾向、Mf:男性女性傾向、St:地位志向傾向、Inf:稀有反応傾向、Ac:黙従反応傾向)を測定するものである。職業興味は、男女別に規定の方法で興味領域尺度のパーセンタイルを算出し、高い値のものから順に3つの記号を並べて興味パターンとする。なお、VPIにおいて理学療法士としての推奨パターンは、SIRと定められている。今回、3年間にわたる各年度の学生個々の職業興味尺度を算出するとともに、専攻全体での検討を行った。なお、本研究は神奈川県立保健福祉大学研究倫理委員会の承認を得て行った。

【結果】学生個々人の興味領域尺度はバラバラであったが、専攻全体の興味領域尺度のパーセンタイル平均値は、1年次はR:53.7%、I:50.1%、A:47.8%、S:53.5%、E:38.3%、C:33.1%であり、興味パターンは実際的な仕事で人との関わりに関心のあるRSIパターンであった。2年次は、R:54.4%、I:53.3%、A:55.4%、S:70.6%、E:48.4%、C:45.0%となり、人との関わりに関心があり、芸術的なひらめきを要する仕事に関心のあるSARパターンを示した。3年次は、R:64.4%、I:65.6%、A:60.9%、S:69.6%、E:51.3%、C:47.3%となり、人との関わりに関心があり実際的な仕事に関心のある、VPIにおいて理学療法士の推奨パターンであるSIRを示した。

【考察】各年度を通して、VPIにおいて理学療法士としての推奨パターンSIRのうちSとRが存在しているが、これは人相手の仕事に適正がある集団であると考えられ、理学療法士を目指す学生としては良好な結果であると考える。特に、3年次ではVPIにおいて理学療法士として推奨されるパターンになったことは、本学理学療法学専攻の第1期生の学生は、個々の学生の適正はバラバラであるが、理学療法士に準じた集団であると考えられた。

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© 2006 日本理学療法士協会
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