理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 665
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理学療法基礎系
Home Exerciseにおける筋収縮様式の違いが下肢筋力に及ぼす影響
*高岡 克宜鶯 春夫岡 陽子唐川 美千代平島 賢一別部 隆司嶋田 悦尚橋本 安駿橋本 マユミ橋本 拓也橋本 千鶴
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抄録
【はじめに】我々は臨床において、障害の予防や理学療法の効果を継続させる為にHome Exerciseを指導している。今回、より効果的な指導を行えることを目的に、その中でも頻度の高い膝伸展筋力向上に着目したExerciseを、Concentric Contraction群(以下、CC群)と、Eccentric Contraction(以下、EC群)に分け、Exercise前後で効果を検討した結果、若干の知見を得たので報告する。
【対象及び方法】本研究に同意の得られた健常成人31名(男性;18名、女性;13名、平均年齢;31.4±11.8歳)を無作為にCC群15名(男性;9名、女性;6名)とEC群16名(男性;9名、女性;7名)に分け、膝関節伸展筋力向上を目的としたHome Exerciseとして背臥位での下肢伸展挙上と座位での膝関節伸展の2種類を行わせた。両群共に5秒間の収縮を左右各20回行い、各肢位1set、計80回行わせた。各肢位の間は1分間の安静をとり、頻度は週2~3回、期間は6週間とした。評価は、等尺性膝伸展筋力をHand-held dynamometer(アニマ社製 μTAS F1)を用い測定しその最大値を体重で除した値(以下、最大筋力値)、30秒間椅子立ち上がりテスト(以下、CS-30)、立ち幅跳びテスト(以下、立ち幅跳び)、Timed Up and Goテスト(以下、TUG)、10m最大歩行速度(以下、10mMWS)を用いた。また、Home Exercise初日と最終日の自覚的運動強度(以下、RPE)も調査した。統計学的解析は、初期と最終評価値の比較、最終評価値と初期評価値の差(以下、改善値)の比較をt-検定を用い、有意水準を5%以下とした。
【結果】CC群の最大筋力値・CS-30・立ち幅跳び・TUG・RPEの平均値は有意に向上し、EC群の最大筋力値・CS-30・TUG・10mMWS・RPEの平均値も有意に向上した。改善値を両群間で比較するとRPEのみEC群に有意な改善が認められ、CS-30・立ち幅跳びはCC群、最大筋力値・TUG・10mMWSはEC群で改善度が大きい傾向にあった。なお、CC群には4名、EC群には3名、計7名がExerciseを継続出来ずに中止した。
【考察】今回の結果より両群共に下肢筋力が向上したが、RPEから考えるとRecruitment、Rate Cording、Synchronizationなどの神経系の調節が関与していると考えられた。また、Home Exerciseは頻度や回数等を変化させ、実際のADL場面での筋収縮様式を評価し特異性の原則に基づき、出来る限り目標レベルに近い肢位やExerciseの選択が必要であると考えられた。さらに、目的を持ったHome Exerciseの検討や継続をさせる工夫等を行う必要性も示唆された。
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© 2007 日本理学療法士協会
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