理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1205
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理学療法基礎系
健常者での視覚情報を用いての下肢荷重訓練のもたらす効果の検討
*浜岡 秀明林 克樹浅海 岩生
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抄録
【はじめに】第28回九州PT、OT合同学会において、下肢荷重量バイオフィードバックシステムを用い荷重訓練前後の下肢荷重学習の効果は、振動覚の影響がある事がわかった。今回、被験者を増やし、下肢荷重訓練の視覚的フィードバックの有無で効果を検証した。

【対象】健常成人25名(男14名、女11名、平均年齢26.4±4.9歳)。

【方法】荷重量は、被験者の全体重を100%とし、10、30、50、70、90%の提示量をランダムに15回示した。期間は10日間とし、1~5日目は荷重訓練を非実施、6~10日目は視覚的フィードバックでの荷重訓練を実施する時期に分別した。主観的な荷重量を1日目(以下A期)、6日目(以下B期)、10日目(以下C期)に測定し、提示量と荷重量の差を残差とした。測定姿勢は裸足立位。右足をフォースプレ-トへ、一方をフォースプレートと同じ高さの台へ乗せ、左右への重心移動をコンピューターの指示に従い実施する。荷重量のフィードバックシステムはA&D社のフォースプレート(FT-100KAI)とパソコンで構成した。静的重心動揺は、閉足立位で30秒とし、A期、B期、C期に足圧中心(以下、COP)を測定。機器は、静的重心動揺解析システム(アニマ社製―G5500)を使用、データー処理は、一元配置分散分析にて、AB間、BC間、AC間を比較した。

【結果】各荷重量の平均値を各期にて算出した。10%A期23%、B期26.3%、C期14.1%。30%A期33.3%、B期33.8%、C期26.6%。70%A期65.5%、B期64.1%、C期71.1%。90%A期77.5%、B期76.1%、C期83.0%であった。10%のBC間で10%(P<0.01)、30、70、90%に有意差を認め(P<0.05)、AC間で10、30%で有意差を認めた(P<0.05)。各残差の平均値を各期にて算出した。10%A期13.5kg、B期16.6kg、C期6.0kg。70%A期7.9kg、B期9.3kg、C期5.3kgであった。BC間に10%の有意差を認め(P<0.01)、70%で有意差を認めた(P<0.05)。AC間で、10%で有意差を認めた(P<0.05)。COPは、移動距離を算出し、平均値を求めた。A期21.3cm、B期21.7cm、C期15.4cmであった。Y方向でBC間、AC間に有意差を認めた(P<0.01)。

【考察】視覚フィードバックを用いての荷重訓練は、10%と30%の荷重量の学習に著名に変化がみられ、静的重心動揺のY方向においても有意差はあったが、50%、70%、90%の荷重量で変化が少なかった。姿勢制御は、視覚系からの感覚情報のみならず、前庭、体性感覚情報の統合で行われる。今回の結果から、ごくわずかな荷重量調整では前回同様視覚フィードバックより体性感覚の影響が強い事が示唆される。
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© 2007 日本理学療法士協会
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