抄録
【はじめに】
当院回復期リハビリテーション病棟では、経験1、2年目(新人)のセラピストが多く記録等の時間が長くなっている。そこで、セラピストの一日の業務状況を調査し、その結果をもとに対策を講じて業務の見直しを行ったので報告する。
【方法】
第1回調査は、H18年6月20日~6月26日に行った。40床に対し、セラピスト36名、2チーム制(20床1チーム:PT7名、OT6名、ST3名)であった。調査対象者は23名(PT10名、OT7名、ST6名;平均経験年数3.3±2.9年(新人14名))、一日の業務は平均15.9単位/日/人、平均担当患者4.7名/日/人であった。第2回調査は、H18年8月7日~8月13日に行った。セラピスト38名、4チーム制(10床1チーム:PT4名、OT3名、ST3名、各チームにリーダーを配置)。調査対象者は19名(PT10名、OT5名、ST4名;平均経験年数3.4±3.1年(新人11名))、一日の業務は平均16.4単位/日/人、平均担当患者4.4名/日/人であった。第1回調査で対象者に一日の業務状況を1分単位で申告してもらい、各々の実施期間中3日間の集計を行った。個別練習(運動療法、ADL練習等)、記録、カンファレンス(伝達含む)の項目に分け、経験年数(新人と経験3年目以上)からみた特性を検討した。その結果からチーム編制を変更し、第2回調査を同様に行った。統計学的有意水準をp<0.05とした。
【結果】
各項目の平均時間(第1回/第2回:平均±SD分)は、個別練習:372.0±99.9/382.4±95.4、記録:101.9±53.5/82.0±40.9、カンファレンス:27.6±26.8/32.4±19.4、全業務時間:500.0±23.7/495.3±118.0であり、記録時間に有意差がみられた。新人と経験3年目以上の者を比較すると、1、2回ともに有意差があった項目は、記録時間:119.8±51.4(新人)84.5±41.5(3年目以上)/97.8±41.3(同) 66.8±24.8(同)、全業務時間:545.4±77.9(同)447.8±123.5(同)/548.3±65.4(同)443.1±105.0(同)であった。患者一人当たりの記録時間は25.0(同)16.9(同)/21.7(同)14.5(同)であった。
【考察】
今回の調査で新人は記録時間が長いことが判明し、新チーム編制後の約1ヶ月で個別指導を行った。また、チーム構成メンバーや担当患者の少人数制に伴い、主・副担当間の情報交換が円滑になり、情報収集も行いやすくなった。これらにより、2回目の調査では患者一人当たりの記録時間の軽減が図れ、業務の改善には有意義な対策であったと考える。