理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1138
会議情報

教育・管理系理学療法
当院の回復期リハビリテーション病棟の現状および今後の課題
*山田 綾子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】
当院は東京都の中でも回復期リハビリテーション病床が少ない北多摩南部地域に位置している。その地域の中で平成18年5月、新病院に移転し、回復期リハビリ病棟を立ち上げた。そこで、回復期リハビリ病棟の現状、開設に伴う変化及び今後の課題をまとめたので報告する。
【内容】
当院は東京都武蔵野市の北西部に位置し、練馬区や西東京市に隣接している。旧病院は急性期病床のみであったが、今回新病院に移転するにあたり、回復期リハビリ病床50床、急性期病床53床に変更した。リハビリ施設基準は、脳血管疾患等(1)、運動器(1)、呼吸器(1)、リハスタッフはPT12名、OT8名、ST1名となっている。
平成18年8月度、回復期リハビリ病棟対象患者は68名(男性:33名、女性:35名)、年齢別には40代~90代と幅広く、平均年齢は73.1歳となっている。疾患別では脳血管疾患患者が61%、整形疾患が25%となっている。発症から入院までの平均日数は26.4日、平均入院日数は脳血管疾患が80.4日、整形疾患が46.4日、全体平均は64.6日であった。
回復期リハビリ病棟開設前後(平成18年1月、4月、5月、8月)のリハビリ対象患者のADL状況をFIM点数で比較すると、運動機能項目で介助量が減少し、監視・自立レベルの患者比率が高くなっている。この要因として、まず1月から4月にかけては、3月から回復期病棟対象患者を受け入れたことによる患者層の変化が大きな要因と考えられる。また、5月にかけては移転に伴う環境の変化が大きな要因と考えられる。旧病院は全体的に狭く、トイレや浴室設備も不十分だったため、ADLがかなり制限されていたが、新病院に移転したことによりその点は解消された。他にも、平成17年度より毎月回復期リハビリ病棟に関する勉強会を実施してきたことにより、職員のADLに対する意識改革が徐々に浸透してきたことも影響していると考えられる。さらに8月にかけては整容、更衣、トイレ動作、清拭、移動の項目でFIM点数に大きな上昇がみられた。回復期病棟開設後、患者のADLに対するスタッフ間の意見・方法の統一が図られ、過介助が減ったためと考えられる。

【今後の課題】
回復期病棟開設前後で比較すると、患者のADL自立度は大きく上がっているが、個々をみるとまだ不十分なことが多い。全職員が常に患者の状態を把握し、共通の方法でADLを指導していくことが必要である。そのためには他職種との協業を図り、更にチームアプローチを成熟させていかなければならない。現在は患者のポジショニングをリハスタッフから病棟スタッフに指示すること、朝の申し送りで介助方法の指示・指導を行うことでADLの統一を図っている。今後も問題点を抽出し、さらに改善を図っていく。
著者関連情報
© 2007 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top