理学療法学Supplement
Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1156
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教育・管理系理学療法
内田クレペリン検査と定期試験成績および留年・退学者との関係について
入学後から2年間の追跡調査
*吉澤 隆志
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抄録

【はじめに】
当学院の第1期生においては、入学試験の内容において、学科試験と面接を実施した。しかし、更に客観的に学生の入学後における学習態度・学業成績を予測するために、入学後に内田クレペリン検査を行った。そこで今回、内田クレペリン検査の結果と入学後から2年間の定期試験成績および留年・退学者との関係を調べ、若干の知見を得たので、ここに報告する。

【対象】
対象は、当学院平成16年度理学療法学科入学生、昼間コース学生43名と夜間コース学生44名とする。

【方法】
検査は、予め「検査は適性検査の一環として実施するもので、成績とは全く関係はない」と十分に説明した上で実施した。
内田クレペリン検査の判定は、「総合評価」として5段階(高度定型群・定型群・準定型群・非定型群・重度非定型群)の評価が行われる。次に、「総合評価」の結果を細かく見ることによって、「能力面の特徴」が6段階、「性格・行動面の特徴」が7段階で現される。それぞれ、段階が低い方が高評価ということとなる。ここで、「能力面の特徴」は3段階以上、「性格・行動面の特徴」は4段階以上が問題視される。
ここで、第1期生の定期試験結果との関係について、分散分析を行った。また、留年者および退学者との関係について、カイ二乗検定を行った。

【結果】
クレペリン検査の結果である「総合評価」「能力面の特徴」「性格・行動面の特徴」と各定期試験結果について、定期試験成績の間に、明確な有意差は見られなかった。
次に、留年者および退学者と在学者におけるクレペリン検査の結果について、「性格・行動面の特徴」の1~3段階と4段階以上との学生間において有意差が見られた(p<0.1)。また、その他の項目については、有意差は見られなかった。

【考察】
先ず、内田クレペリン検査の結果と定期試験成績との関係について調査を行った。夜間学生において、「総合評価」の重度非定型群と1年次および2年次の定期試験成績において負の相関が示唆された。しかし、重度非定型群の対象となる学生は2名であり、信頼性があるとは言い難い。このことは、内田クレペリン検査の結果は、定期試験成績に直接的に関与する可能性は低いことを示していると考える。
次に、2年間を通しての留年者および退学者における内田クレペリン検査の結果を検討した。結果としては、「性格・行動面の特徴」の1~3段階と4段階以上との学生において有意差が示唆された。この結果は、留年および退学に至る原因として、基礎学力の低さが原因となるよりも、性格的に何らかの問題が生じ勉強に集中できなかったことが原因になっていると考えられる。よって、「性格・行動面の特徴」が4段階以上と判定された学生に対しては、クラス担任等による精神的なフォローと共に、学業に専念出来ているかを常に注意して見守っていくことが必要になってくると考える。

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© 2007 日本理学療法士協会
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