理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 667
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神経系理学療法
選択的脊髄後根切断術施行後の評価と理学療法
術後3年で独歩が可能となった9歳痙直型両麻児より
安達 みちる, 猪飼 哲夫
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抄録
【はじめに】脳性麻痺児において7、8歳以降に独歩獲得する可能性は極めて低いとの報告がある。今回、独歩未経験の痙直型両麻痺児が5歳8ヶ月時に選択的脊髄後根切除術(以下SDR)を施行し、3年を経た8歳で独歩が可能、ADLが拡大した症例の術後の評価経過と理学療法(以下PT)について考察を加え報告する。
【症例】30週、1580gで出生。定頸3M、四つ這い移動18M、伝い歩き24M、MRなし。12MよりPT開始、術前まで他院で隔週のPT施行。術前機能は、GMFCS3、伝い歩き・PCW歩行20~25m可能(尖足・下肢交叉あり)。下肢筋緊張(MAS)2~1、ROMは、足背屈・SLRに制限あり。下肢自発運動は、股外転と屈曲が、伸展と内転が共同して運動。PEDI機能的スキルの祖点:セルフケア48、移動22、社会52。GMFM:立位領域26%、歩行走行領域15%。
【理学療法】術後より当院でも開始。普通小学校就学までの1年間は、他施設と併用し月3回のPT、就学後は当院にて年4~6回のPT評価訓練指導を施行。評価結果から、足部ストレッチ、非加重での下肢の分離的自発運動の促し、重心移動や運動方向を意識させた膝立ち・立ち上がり・立位など加重による筋力強化、歩行練習など自宅の日常の中で行えるよう指導が中心のPTを施行。
【経過】SDR(L2~S1、50%)直後、立位・歩行困難、MAS1+~0。術後6ヶ月で術前機能まで回復。骨盤・下肢の分離的自発運動が拡大し、割坐りから胡坐座位への変換が上肢使用せず可能。MAS1+~1。ROMは軽度拡大。術後2年10カ月で独歩が1~2m可能。ロフスト杖歩行可能。MAS1+~0、下肢分離的自発運動拡大しMMT測定可能(股・膝・足2~4、足指屈曲1)。術後3年6ヶ月時には、ゆっくりとした独歩で途中での静止・方向転換可能、階段昇降は手すり使用で左右交互に可能。MAS1+~0、PEDI機能的スキルの祖点:セルフケア70、移動47、社会62。GMFM:立位領域64%、歩行走行領域49%。
【考察】独歩に至るまで筋緊張が術直後より亢進したが、下肢の分離的自発運動とROMが拡大していたことより、動作に必要な筋力の不足を代償したため亢進したと考え、継続して分離した状態での筋力強化を意識したPTを指導した。股・膝は立位・歩行に対応してきているが、足部・足指は立位時の外反が強く、AFOで対応している。本症例は非常に協力的であり、SDR後、下肢の分離運動が行いやすくなったことで、分離した状態での筋力強化と運動方向の学習がしやすく、また、自宅で可能な運動を提示したことで児の動作自立への意欲が増し、独歩可能、座位・立位・歩行機能を必要とするADLの拡大につながったと考える。実用的な独歩獲得への可能性もでてきた。長期的な評価と指導の必要性が確認され、今後、さらなる機能拡大が期待される。
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© 2008 日本理学療法士協会
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