理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 106
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骨・関節系理学療法
運動器疾患に対する神経筋協調トレーニングによる介入効果のシステマティックレビュー
高柳 清美森山 英樹細田 昌孝坂上 昇久保田 章仁磯崎 弘司伊藤 俊一金村 尚彦鈴木 陽介荒木 智子須永 康代西原 賢田口 孝行井上 和久丸岡 弘
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抄録
【目的】
近年,運動器障害や転倒予防の運動療法として,重力下の空間で身体を制御し,多関節運動の筋を制御するのに必要な中枢神経や感覚受容器および求心性・遠心性末梢神経機能を協調させるトレーニング法の介入効果が注目されてきた.この“神経筋協調トレーニング”は,身体内外からの感覚情報の入出力の一連の過程を改善させることを目的とした神経-筋反応の再トレーニング法,あるいは種々の姿勢の中で神経-筋反応機構を反復させ統合させるトレーニング法と定義できる.本研究の目的は,運動器疾患に対するこのトレーニングの介入効果のシステマティックレビューを行い,トレーニング効果の検証および問題点と今後の課題を明らかにすることである.
【方法】
1966年から2007年10月31日までの運動器疾患に対する神経筋協調トレーニングの効果に関する論文をPub Med,SINAHL,PEDro,コクランライブラリー,医学中央雑誌のデータベースにて検索した.検索式は,(proprioceptive OR neuromuscular OR closed kinetic OR balance) AND (training OR exercise) AND (joint OR bone) AND outcomeとし,運動器疾患の介入効果の論文を選出した.
【結果】
全部で127の論文と,29のシステマティックレビューが該当した.そのうち,神経筋協調トレーニングに関するランダム化比較試験(RCT),準ランダム化比較試験(CCT)の論文は34,システマティックレビューは25で,そのほとんどが2000年以降であった.対象疾患の内訳は,前十字靱帯損傷13,足関節捻挫など9,高齢者8,腰痛4,膝蓋大腿部痛4,変形性膝関節症4,頸部2,肩関節2,他11であり,介入結果は効果を認めた報告と効果がないとした報告の両方が存在した.
【考察】
神経筋協調トレーニングに関するシステマティックレビュー,RCT,CCTの研究が2000年以降急増し,様々な運動器疾患に応用され,また介入の有効性を報告した論文も少なくない.介入効果の検証のためには研究デザインが重要であり,評価の高い論文を作成する必要性が示唆された.神経筋協調トレーニングを英語ではproprioceptive training,neuromuscular trainingあるいはbalance training,日本語ではDYJOC,関節トレーニング,神経-運動器協調トレーニングなど様々な名称で表現している.類似したトレーニングであるにもかかわらず,トレーニング内容も多種多様であった.介入効果ありとする論文と効果なしとする論文間に必ずしもトレーニング内容,強度,頻度あるいは評価方法が一致しておらず,根拠に基づく診療(evidenced based practice)を推進していく中で,今後障壁となる可能性が示唆された.
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© 2008 日本理学療法士協会
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