理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 112
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骨・関節系理学療法
当院における肩関節拘縮の治療について
藤崎 真奈三苫 桂嗣鶴田 崇緑川 孝二
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抄録
【はじめに】
肩関節拘縮に対する治療には、リハビリテーションを中心とした保存的治療と、手術的治療がある。当院においても、両者を選択的に実施している。そこで、過去3年間の治療データをもとに、治療経緯を報告する。
【対象と方法】
平成16年4月から平成19年3月までに、経過を追うことができた保存治療のみおこなった73例78肩、保存治療に抵抗し手術治療をおこなった7例7肩を対象とした。これらの年齢、性別、受診歴、受診までの期間、治療効果などについて検討した。
【結果】
平均年齢は58、7歳(35~76歳)で50代・60代がもっとも多かった。性別は保存的治療では男性34例37肩、女性46例48肩で、手術的治療では男性6例6肩、女性1例1肩であった。保存的治療期間は平均166日(27~640日)であった。
保存的治療から手術的治療を行った例は7例/80例(8、7%)であり、関節可動域(以下ROM)は屈曲、外旋、内旋で有意に改善した。他院で改善なく当院受診した21例のうち、保存的治療16例・手術的治療4例はROMが改善傾向にあるか予後良好であった。
【考察】
このような治療効果が得られた理由として、各症例や症状に合わせた運動療法に加え、自主トレーニングの指導を徹底したことがあげられる。
拘縮の定義は明確ではないが、当院では保存的治療約2~3ヶ月継続により屈曲120°、外旋左右差30°、内旋L4以下に制限され疼痛の改善がみられない場合、および患者が希望する場合に手術的治療の適応としている。実際に、保存的治療後平均135日(44~307日)で手術的治療となっているが、この期間に十分なリハビリや教育がおこなわれることによって、術後後療法を円滑にすすめることができていると思われる。
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© 2008 日本理学療法士協会
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