理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 131
会議情報

骨・関節系理学療法
当院における大腿骨頸部骨折患者の現状について
上村 明子福迫 剛俵積田 光宏橋口 円俵積田 麻里岩川 良彦原 光一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】近年、医療機関の機能分化を大きな目的として連携が重要視されてきている。当院は急性期病院であり、地域連携パスの作成・実施にむけて後方病院との連携をすすめている過渡期にある。今回、当院の大腿骨頚部骨折患者の現状を評価調査し、若干の知見を得たのでここに報告する。
【方法】2005年9月から2007年9月に大腿骨頚部骨折を受傷し、当院で手術を施行しCP適応となった39例(男性7名、女性32名、平均年齢79.56±9.49)を対象とした。これらの症例に対して、骨折の型、術式、手術までの期間、在院日数、リハ実施日数、受傷前移動能力、退院時ADL評価(退院時移動能力、BI、FIM)、転帰、認知症の有無を調査した。
【結果】骨折の内訳は内側18例、外側18例、転子部3例、術式は人工骨頭置換術16例、γネイル12例、CHS7例、ハンソンピン3例、髄内釘1例、手術までの期間9.54±10.50、在院日数34.56±11.36、リハ実施期間29.28±11.47であった。受傷前移動能力の内訳は歩行不能1名、歩行器7例、伝い歩き4例、杖歩行17例、独歩10例、退院時は歩行不能10例、歩行器7例、伝い歩き7例、杖歩行15例であった。退院時BI50.26±29.00、FIM75.13±33.87であり、退院先は施設12例、回復期リハ20例、自宅7例であった。対象のうち15例に認知症があった。各評価項目による比較はスピアマンの順位相関係数により受傷前移動能力と退院時移動能力に相関がみられた(r=0.537)。またピアソンの相関係数により年齢と退院時BIに(r=-0.517)、リハ実施日数と退院時FIMに(r=0.330)相関がみられた。退院先による比較を、3群間にて一元配置分散分析、Tukeyによる統計処理を行なったところ、退院時BI・FIM、在院日数、リハ実施期間、年齢において有意差がみられた。
【考察】一般に退院時の移動能力に及ぼす因子として受傷前の移動能力があげられるが、今回も同様の結果となった。自宅退院群は回復期・施設群に比べ年齢が有意に低く、移動能力が高い状態にあり、在院日数は長い傾向にあった。これは自宅退院群は環境調整や移動手段獲得のために時間を要したり、回復期群では転院調整等でCPより逸脱する例が少なくないことが影響していると思われた。そのため入院早期より他施設や介護保険などの社会資源の調整・連携を行なうと同時に患者様・家族への説明・教育をさらに活用していくことが必要と考える。今後、地域連携パスの導入による後方病院との連携の強化により、共通認識のもとでの治療の継続と在院日数の短縮により、急性期病院の役割を担うと考えられた。また、入院前の生活の場所や合併症など他因子との関連についても今後さらなる検討が必要であると考えている。
【まとめ】当院における大腿骨頚部骨折患者の調査を行なった。急性期病院の役割として在院日数を短縮し、医療の質を維持しながら後方病院へ橋渡しをするために連携パスのあり方が重要となると思われた。
著者関連情報
© 2008 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top