理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 136
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骨・関節系理学療法
大腿骨頚部骨折に対するハンソンピン施行患者の長期成績
辻村 康彦高田 直也
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抄録
【目的】大腿骨頸部骨折におけるハンソンピンを用いた骨接合術は,その対象を不安定型骨折にまで拡大され,症例数も年々増加傾向にある.ハンソンピンは最小侵襲手術であることから疼痛の軽減が期待できることや,その構造的特徴から早期荷重歩行・ADL拡大を実施できるという利点をもち,その効果についても多数報告されている.しかし,その一方で整復位破綻や骨頭壊死による再手術が危惧されているのも事実である.そこで今回,ハンソンピンにおける再手術を含む長期成績につき調査検討を行った.
【対象】2002年1月~2005年10月までにハンソンピンを施行し当科に依頼のあった86例のうち,年齢が55~85歳で,リハビリテーション実施に際し支障となる身体・精神機能異常を有せず, 受傷前及び退院時に歩行能力を有した60例を有意抽出し対象とした.その内訳は,男性2例,女性58例,平均年齢69.7±8.9歳,Garden分類:安定型(1,2)38例,不安定型(3,4)22例,平均術後在院日数22±12日,退院時歩行能力:杖53例,バギー7例である.
【方法】検討項目は,1.再手術と原因,2.臨床諸指標の長期成績とした.再手術に関しては,全体及び骨折型別に再手術率と原因,症状発生までの期間などにつき検討した.長期成績に関しては,2年間経時的に評価可能であった26例を対象に,JOA score,小牧式下肢ADL評価表を用い,受傷前,術後1,3,6,12,24か月時の評価結果の推移につき検討した.
【結果】再手術率は60例中10例(16%)で,安定型38例中4例(10%),不安定型22例中6例(27%)と不安定型に多く認められた.再手術の原因は,安定型が整復位破綻3例,骨頭壊死1例に対し,不安定型は整復位破綻3例,骨頭壊死3例と不安定型に骨頭壊死が多く認められた.また原因の症状発生までの期間に関しては,整復位破綻が平均65.6日であるのに対し,骨頭壊死は平均364日と遅かった.これら再手術となった10例は,平均術後在院日数25±8日,退院時歩行能力:杖8例,バギー2例であり,再手術とならなかった患者と差を認めず,さらに,全例特徴的な合併症も有していなかった.
長期経過に関しては,JOA score:術後1/3/6/12/24か月時結果:78/83/87/89/90,小牧式下肢ADL評価表:受傷前/術後1/3/6/12/24か月時結果:94/79/85/89/92/92,と術後1か月時より良好な改善を示し,24か月時まで維持していた.
【考察】安定型にも骨頭壊死を含む再手術例が存在したこと,再手術例において特徴的な経過や合併症を認めなかったこと,さらに骨頭壊死の症状出現までには平均12か月であることから,ハンソンピン施行患者に対しては,全症例に長期的な経過管理が必要であることが示唆された.長期成績に関しては,術後1か月時においてすでに歩行・ADL自立能力を獲得でき,長期的にその能力を維持できていたことから,ハンソンピンを用いた治療は有効であると思われる.ただし,今後さらに症例数を増やし,再手術例の特徴などにつき調査検討を重ねる必要があると考えている.
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© 2008 日本理学療法士協会
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