理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 135
会議情報

骨・関節系理学療法
大腿骨頚部/転子部骨折患者の在院日数に関わる因子の検討
大腿骨頚部骨折シームレスケア研究会登録患者のデータとバリアンス分析から
野尻 良前田 英児林 茂西田 公明
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キーワード: 続発症, 併存症, 援助者
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抄録
【はじめに】
平成15年から大腿骨頚部骨折シームレスケア研究会(以下研究会)が発足し、大腿骨頚部/転子部骨折患者に対して継ぎ目のない医療とケアの充実を目的に活動を行なってきた。その中で、西田らの報告によると「大腿骨頚部/転子部骨折患者で在宅復帰した者のうち当研究会連携パス使用者とその他の患者の比較では、ざ当研究会の在院日数が長く、アウトカム達成率では当研究会連携パス使用者が高かった。」とある。そこで今回、当研究会登録患者の中から在宅復帰した者を抽出し、在院日数に関わる因子を検討したのでここに報告する。
【方法】
平成19年10月現在、当研究会に登録されている患者498例のうち、在宅復帰した者183例を抽出。当研究会規定のアウトカム術後在院日数から延長群と短縮群に分類し、術式別(人工骨頭置換術と骨接合術)に在院日数に関わる因子を検討した。
【結果】
人工骨頭置換術では、疼痛、認知症、家屋調査、改修指導においてこれらを有した者が延長群に多く認められたが、骨接合術では明らかな差は認められなかった。
バリアンス分析では、人工骨頭置換術において負のバリアンス(在院日数が延長した要因)では、続発症(術後疼痛や感染)45.5%、併存症(認知症や既往疾患)48.5%、在宅での援助者(ヘルパー、家族等)18.2%が高い割合を示し、正のバリアンス(在院日数が短縮した要因)では、続発症47.4%、家族理解力15.8%、在宅での援助者5.3%であった。骨接合術においては、負のバリアンスで続発症68.3%、併存症92.7%、在宅での援助者18.2%であり、正のバリアンスでは、続発症75.0%、併発症35.7%、家族理解28.6%、在宅での援助者42.9%であった。
【考察及びまとめ】
人工骨頭置換術では、在院日数に術後疼痛や認知症の有無が関与することが示唆される。骨接合術においては、延長群と短縮群の比較では差が見られなかったものの、バリアンス分析の結果から在院日数の延長に疼痛や認知症、既往疾患の影響が大きく関わると考えられる。在宅復帰に高い移動能力とADL動作が必要とされることは諸家の報告により明らかである。つまり、骨接合術延長群においては高い移動能力やADL動作の獲得に時間を有し、その要因に疼痛や認知症が関与すると考える。
社会的要因に関しても人工骨頭では延長群に家屋調査や改修指導の必要性があったと考えられ、バリアンス分析においてもその関与は延長群短縮群ともに高いものであった。
今回の結果から、在宅復帰までの経過の中で移動能力やADL動作の獲得に要する時間や家屋調査、環境調整にかかる時間とその重要性を明確にしていくことが今後の課題であると考える。
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© 2008 日本理学療法士協会
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