理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 140
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骨・関節系理学療法
当院における膝関節スポーツ障害の特徴
筋短縮に着目して
近藤 照美林 優赤羽根 良和篠田 光俊笠井 勉鵜飼 建志林 典雄
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抄録
【目的】今回、当院で扱った膝関節スポーツ障害例の筋短縮の特徴について疾患別に検討したところ興味ある知見が得られたので報告する。
【方法】平成14年1月から平成18年1月までに扱った、膝関節スポーツ障害117例135膝のうち、Osgood-Schlatter病(以下OSD)(74膝)、膝蓋靭帯炎(以下JK)(12膝)、腸脛靭帯炎(以下RK)(10膝)、Anterior knee pain症候群(以下AKPS)(39膝)、を抽出し、これら4疾患に対する筋短縮の特徴について検討した。
【検討項目】検討項目は以下の6項目とした。1.大腿筋膜張筋(以下TFL)短縮テストの陽性率2.Thomasテストの陽性率3.外側広筋(以下VL)の前後方向の伸張性低下の陽性率4.大腿直筋短縮テストの陽性率、5.走行時Malalaignmentの有無6.筋短縮改善時点での疼痛の有無について検討した.
【結果】1.TFL短縮テスト陽性率は、OSD87.8%、JK83.3%、RK100%、AKPS87.1%であった。2.Thomasテスト陽性率は、OSD75.6%、JK66.6%、RK90%、AKPS23.0%であった。3.VLの前後方向の伸張性低下の陽性率は、OSD22.9%、JK83.3%、RK60%、AKPS92.3%であった。4.大腿直筋短縮テスト陽性率は、OSD100%で平均屈曲角度114.3°、JK100%で平均107.0°、RK60%で平均125.5°、AKPS41.1%で平均138.2°であった。5.走行時のmalalaignmentはOSD9.4%、JK41.6%、RK80%、AKPS94.8%に認めた。6.筋短縮テスト陰性化に伴い疼痛が消失したのはOSD98.7%、JK91.7%、RK50%、AKPS30.8%であった。
【考察】我々は膝関節スポーツ障害に対する運動療法として、柔軟性の改善とともに、malalignmentの影響が強いケースには積極的にインソールを併用し治療にあたっている。今回の結果よりOSD、JKでは膝関節伸展機構ならびに外側広筋の緊張に影響する腸脛靭帯の過緊張が多く認められ、その病態を考慮すれば妥当な結果であった。筋短縮の陰性化により約90%の症例で疼痛の消失が得られたOSD、JKはその発症において筋短縮の影響が主要因子として関わっていると考えられた。RKでは筋短縮の陰性化による疼痛消失は50%にとどまり、alignmentと筋短縮が混在した病態と考えられた。AKPSは基本的には筋の柔軟性は保たれている例が多いが、VL、TFLといった膝蓋大腿関節の外方不安定性に関係する筋の短縮は特徴的であった。しかしながら、柔軟性の改善に伴った疼痛の消失例は30%程度にとどまっており、基本的にはmalalignmentが症状の発現に強く関与する疾患と考えられた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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