理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 156
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骨・関節系理学療法
膝蓋大腿関節障害の理学療法効果の検討
長壁 円川崎 秀和鵜飼 啓史中島 啓照松本 康嗣内藤 浩一
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抄録
【はじめに】
膝蓋大腿関節障害(Patello Femoral Pain Syndrome:PFPS)は臨床上よく見られるスポーツ障害のひとつである。PFPSの発生要因としてQ-angleの増大や膝関節外反、大腿骨内旋、膝蓋骨高位などのさまざまなmalalignmentが指摘される。我々は第42回日本理学療法学術大会において、大殿筋、下腿三頭筋の筋出力の低下、内転筋のタイトネスがいわゆるKnee-inといわれる状態を引き起こし、PFPS発症の一要因となると報告した。今回は股関節・足関節機能に着目してPFPS患者の理学療法を行い、その効果を検討したので報告する。
【対象】
対象は、PFPSと診断された患者10名(平均年齢:14歳)とした。被験者にはあらかじめ研究の目的、内容を説明し同意を得た。
【方法】
理学療法開始前に、被験者の疼痛、筋力、筋タイトネスの測定、動作解析をおこなった。疼痛の評価にはVisual Analog Scale(VAS)を用い、0~10段階で評価した。筋力の測定は股関節屈曲、伸展、外転、足関節底屈、内反をmicroFET2を用い、make testにて行った。筋タイトネステストとして、Ober test、ハムストリングスのタイトネス、身長に対する開脚率を測定した。動作解析では、被験者の大転子、膝蓋骨中央、腓骨外果にマーカーを貼り付け、約30cmの台よりドロップジャンプをおこなわせた。正面からデジタルビデオカメラで撮影し、Anima社製MA-1000にて二次元動作解析をおこなった。得られたデータより着地時の前額面上での両股関節・膝関節・足関節の距離を測定し、股関節距離を基準に膝関節距離の割合(K/H比)、足関節距離の割合(A/H比)を求めた。理学療法は、股関節、足関節を中心にストレッチ、筋力増強、stabilization、DYJOC、ジャンプ動作訓練・指導をおこなった。来院時は徒手療法、物理療法も併せて施行した。6週の理学療法実施後、再度各項目についての評価をおこない、理学療法効果について検討した。統計処理はWilcoxon符号順位検定を用い、有意水準危険率5%未満とした。
【結果】
理学療法開始より6週後には、内転筋・ハムストリングスの柔軟性は改善し、股関節伸展、足関節底屈・内反筋力も増加した(p<0.05)。着地時のK/H比は増大した(p<0.05)。VASもPT後で減少しており、ほぼ全力でのスポーツが可能となった。
【考察】
内転筋のタイトネスの改善や股関節伸筋筋力の増大が、ジャンプ時のK/H比の減少、いわゆるKnee inの減少につながったと考えられる。またストレッチや筋力増強に加えジャンプ動作をおこなうことで、より動作時のKnee inの減少、疼痛の軽減につながったのではないかと考えられた。
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© 2008 日本理学療法士協会
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