理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 155
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骨・関節系理学療法
膝関節の他動可動域と関節トルク値との関係について(第2報)
変形性膝関節症と健常者との比較
杉原 建介今井 保下之園 英明松山 博文加藤 裕子丹羽 徹
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抄録
【はじめに】関節可動域の評価値は、一般的にその可動範囲で示されるが、臨床的には他動可動域を評価する際、関節を動かす力の強さ(以下;関節可動トルク値)によってその評価値は変化する。我々は第一報として、健常男性の膝関節を対象に、関節可動トルク値を考慮した可動域の測定をすることにより、各関節の特性(曲がり易さ等)を客観的に評価することが可能であることを報告した(第42回日本理学療法学術大会)。
今回我々は、変形性膝関節症(以下、OA膝)を持つ患者と健常男性の膝関節との比較を行い、OA膝の関節特性について若干の知見を得たので報告する。
【方法】健常男性6名の膝関節、計10関節、OA膝を持つ女性6名の膝関節、計10関節を対象とし、測定肢位は腹臥位にて行った。関節可動トルク値の測定には、Hand Held Dynamometer(アニマ社製;以下HHDと略す)を用い、足関節前面(内外果中央部)にHHDのセンサーをあて、膝関節屈曲方向へセンサーを介して外力を加えた。最初にセンサーの圧が2kgを示した時の膝屈曲角度を測定した。膝屈曲角度の評価値は、下腿長(膝関節裂隙から外果までの長さ)と大腿骨骨幹部中央線までの距離より三角関数を用いて算出した。以後、順次センサーの圧が1kg増加するごとの膝屈曲角度を測定し、踵が臀部につくか、疼痛(関節痛、筋の伸張痛など)を訴えるまで測定を行った。関節可動トルク値と膝屈曲角度の統計学的検定には、t検定および回帰分析を用い危険率5%未満を有意とした。分析方法は、多項式回帰分析を行った。
【結果および考察】OA膝全関節において、関節可動トルク値と膝屈曲角度との間に危険率0.01%未満で特有の回帰式が得られた。その回帰式の特徴は、健常男性の膝と同じトルク値で膝屈曲角度を比較するとOA膝の方が低い値を示した。例えばトルク値100(kgcm)で比較すると、健常男性とOA膝の屈曲角度の平均値は143.8°および127.7であり有意にOA膝の屈曲角度が低い値を示した。これは同じ外力でも健常な膝よりもOA膝の方が曲がりにくいことを示している。またOA膝の中で比較してみると、痛みが強くOAの重度の症例は121.7°で、軽度の症例は156.3°とその差が34.6°となりその特徴は同じトルク値で比較することにより明かとなった。最終可動域でのトルク値は、OA膝の平均は191.8(kgcm)、健常平均466.3(kgcm)であることを考えると、より少ない外力で最終可動域に到達することも特徴であることが分かった。
【おわりに】OA膝の患者の関節可動域の評価にも、関節可動トルク値の概念を取り入れることにより、関節の特性をさらに客観化することが可能となった。
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© 2008 日本理学療法士協会
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