理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1237
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内部障害系理学療法
低体力高齢者における症状と下腿周囲径は関連している
小林 聖典山田 純生清水 優子神谷 訓康清水 美帆中島 將宏上坂 建太河野 裕治作井 大介
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キーワード: 運動機能, 症状, 下腿周径
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抄録
【目的】体力レベルの低い高齢者が日常生活で経験する症状にはめまい、疲労、動悸などが挙げられるが、これらは起立耐性の低下を伴う症例が訴える症状とよく似ている。起立耐性低下を伴う病態を有する者では、それらの症状と下腿周囲径が関連することが報告されており、失神を伴う場合はさらに静脈還流との関連で検討されている。しかしながら、低体力高齢者の場合においては症状と下腿周囲径の関連性は明らかでない。本研究は地域在住の一般高齢者を対象として、日常に経験している諸症状と下腿周囲径との関連性を検討することを目的とした。
【方法】対象は体力検診へ参加する同意が得られた地域高齢者76名。明らかな運動器疾患、脳血管障害、心疾患を有する者は除外した。体力検診は、事前に郵送で質問紙調査を行った後、本学にてフィットネス検診を実施した。質問紙調査の内容は既往歴、服薬状況、日常に経験している症状、日常生活活動度に関するものとした。本学にての検診ではBMI、握力、膝伸展筋力、M-FRT(Modified functional reach test)、6分間歩行(6MWD)、上腕周囲径、下腿周囲径、筋肉・脂肪量(muscleα,フィジオン社)を測定した。統計学的分析はSPSS12.0を使用しPearsonの相関係数、χ2検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】質問紙での有効な回答ができ、検診が遂行できた65名(男性17名、女性48名、平均年齢72.6歳)のデータを解析対象とした。下腿周囲径と6MWDでは、対象者を中央値で分けた下位の6MWD低下群(510m以下、低体力高齢者)において下腿周囲径と6MWDに有意な正相関がみられた(r=0.4,p<0.01)。さらに6MWD低下群を症状別に検討すると、「めまいや頭痛」の訴えのみ下腿周囲径と関連する傾向がみられた(χ2=3.91,p=0.06)。
【考察】症状を訴える高齢者においては症状と身体機能が関連する傾向があった。下腿筋は膝伸展筋のように客観的な指標がなく、筋機能を簡便に測定することが困難である。下腿周囲径は低栄養状態の指標として用いられているが、本研究結果はそれ以外に静脈還流に関連する筋ポンプ活動や動作遂行における筋出力トルク指標として有用性があることを示唆するものと思われた。フィットネスの階層構造において6MWDは最上位の水準に位置づけられる指標であり、起立耐性、症状、身体機能はより要素的な項目を反映する。したがって、下腿周囲径がどのような要素を反映するかについては、より詳細な検討が必要と思われた。
【まとめ】低体力高齢者は日常に経験している症状が下腿周囲径と関連している可能性が示唆された。
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© 2008 日本理学療法士協会
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