理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 311
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生活環境支援系理学療法
福井県小浜市における地域支援事業の効果
福山 支伸安倍 浩之小林 裕和下 嘉幸大野 加代子田中 亜沙美
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抄録
【目的】平成18年に介護保険法が改定され、地域支援事業が創設された。当施設では、平成19年6月より地域支援事業における介護予防事業として、特定高齢者に対する運動器の機能向上事業(以下地域支援事業と略す)を実施している。地域支援事業では、転倒による骨折、動脈硬化による脳血管障害や心疾患、運動不足による廃用症候群を予防する為に、筋力、バランス能力、柔軟性の向上を基盤とした日常生活活動量の向上を目的としている。今回、地域支援事業における効果と今後の課題について検討したので報告する。

【対象と方法】対象は、小浜市健康長寿課が特定高齢者と認定し、平成19年11月現在、地域支援事業に参加している32名中、3ヵ月後の評価が終了した14名(男性5名、女性9名)。平均年齢は72.50±4.64歳であった。尚、対象者には本研究の趣旨を口頭にて説明し同意を得た。
地域支援事業は、週2回(1回60~90分)計6ヶ月間実施し、低負荷のマシントレーニング、バランストレーニング、ノルディックウォーキングを実施している。参加者は、初回、3ヵ月後、6ヵ月後に評価を行い、身体機能評価として握力、最大等尺性大腿四頭筋筋力、CS-30テスト、長座位体前屈、開眼片脚立位保持時間、Timed up & Go test(以下TUGと略す)、6分間歩行を実施した。また、日常生活自立度評価としてBarthel Indexを評価し、更に生活習慣記録機ライフコーダEX(スズケン社製)を用い、1週間の平均歩数、平均運動量を測定した。尚、平均歩数、平均運動量の測定は、初回と6ヵ月後の評価のみとした。14名の初回時と3ヵ月後の身体機能評価、日常生活自立度評価について、対応あるt検定を用い比較検討した。尚、有意水準は5%未満とした。

【結果】握力、最大等尺性大腿四頭筋筋力、長座位体前屈、Barthel Indexに有意差は認められなかったが、CS-30テスト、開眼片脚立位保持時間、TUG、6分間歩行は有意に向上した(P<0.05)。

【考察】CS-30テスト、TUG、6分間歩行など、筋持久力が必要な項目が有意に向上した。これら持久性の向上は、日常生活活動量を増加させるという意味で有効ではないかと推察された。一方、握力や最大等尺性大腿四頭筋筋力など、瞬発力を必要とする項目が向上しなかった。転倒リスクを抱えた高齢者の社会生活において、瞬発力に変化が無いことについて課題が残る。尚、平均歩数、平均運動量の結果など、詳細については本学会にて報告する。

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© 2008 日本理学療法士協会
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