理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 760
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生活環境支援系理学療法
外来理学療法とフィットネスの併用
グループレッスンの利用
渡邉 晃久中島 洋輔西上 智彦曽我 仁美町田 博久
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抄録

【目的】当院では併設フィットネスクラブにて少人数を対象としたヨガ、ストレッチ、エアロビクスなどのグループレッスンを行っており、外来理学療法とフィットネスクラブを併用しながら運動療法を行うことが可能である。慢性疼痛の治療は難渋することが多いが、近年ヨガが有効との報告が散見されている。本研究の目的はヨガが慢性疼痛に有効かどうかを検討するとともに、外来理学療法とフィットネスの併用についての予備的考察を行うことである。
【対象と方法】当院併設フィットネスクラブ会員のうちヨガレッスン参加者8名が対象。対象者の平均年齢は42.0±9.6歳(30~55歳)、全員女性であった。対象者に趣旨を説明し同意を得たうえでアンケートを行った。質問内容はレッスン開始前の疼痛、レッスン後の疼痛の改善度、満足度などであり、回答は疼痛のみ数値的評価スケールを用い、あとは自由回答法とした。また、疲労感の客観的指標として安静時心拍数およびレッスン中の心拍数を測定した。レッスンはヨガの講習を受けたインストラクター1名により50分間行われた。統計はSteel-Dwass法による多重比較法を用い危険率5%未満とした。
【結果】8名のうち疼痛のある者は6名であり、内訳は肩こり5名、腰痛2名、脚のしびれ1名、脚のむくみ1名、全身のだるさ1名(重複回答あり)であった。レッスン前中後の疼痛は数値的評価スケール10段階にてそれぞれ6.5±1.7、5.8±1.5、4.0±0.7でありレッスン前後で有意に改善した(p<0.05)。レッスン後の満足度は「体が楽になった」など肯定的意見が8名中6名であり、2名が記載なし、否定的意見は0名であった。安静時心拍数は69.7±7.0bpm(60~84bpm)、レッスン中70.7±9.2bpm(56~92bpm)であった。
【考察】アンケート調査の結果、ヨガレッスン参加者はレッスンへの満足度が高く、除痛の即時的効果が期待できることが示された。またレッスン中に疼痛は増悪せず、心拍数も大きく上昇しない強度であることから、疼痛を訴える外来患者がレッスンに参加することは選択肢の一つとなり得る。その際には理学療法士が適応やリスク、運動能力などを評価しインストラクターと情報を共有することによりグループレッスンを利用した運動療法が展開できると考える。今後の課題として、フィットネスクラブとの連携を積極的に取り組んでいく必要がある。

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© 2008 日本理学療法士協会
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