理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1665
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生活環境支援系理学療法
肢体不自由特別支援学校と理学療法士・作業療法士の連携に関する調査
教員へのアンケート調査から
佐藤 裕子川間 健之介浅川 育世松田 智行長山 七七代
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抄録

【目的】「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(中央教育審議会2005)において総合的な体制整備に関する課題に「学校内外の人材の活用と関係機関との連携協力」が挙げられ、外部専門家の総合的な活用や、福祉、医療、労働などとの連携協力を進める必要があるとされている。このような中で各都道府県では特別支援学校に外部専門家を導入する事業が始められ、医療と教育の連携のあり方が模索されている。本研究では肢体不自由特別支援学校と理学療法士・作業療法士の連携について教員の考え方を把握し、両者の連携の課題を明らかにすることとする。

【方法】2007年10月上旬に茨城県内の肢体不自由特別支援学校3校の常勤教員320名に対し、訪問留置き調査法にて自記式質問紙調査を実施した。調査内容は「基本属性に関する調査8問」「PT・OTの支援に関する調査3問」「学校とPT・OTの連携に関する調査13問」から構成された。

【結果】182名(回収率56.9%)から回答が得られた。高等部教員が小・中学部教員に比してPT・OTの認知度が低く(p<.05)、連携したことがないという回答が多かった(p<.05)。療育センター等併設なしの教員の方が併設ありの教員に比べ連携の充足度が高く(p<.01)、非常勤PT・OTの関わりがある教員の方が関わりのない教員より高かった(p<.01)。PT・OTに関わって欲しい支援項目は「ポジショニング(85.0%)」「自立活動(80.4%)」「訓練場面見学(79.1%)」が多く、実際に関わった項目としても多く、その支援に対する満足度では「役立った(98.0%)」と肯定的回答が多かった。PT・OTとの実際の連携方法では「教員が医療機関訪問(78.1%)」「PT・OTによる研修会参加(55.0%)」「保護者を介して連絡(43.0%)」であった。教員が最も有用だったと感じた方法は、「教員が医療機関訪問(45.1%)」「PT・OTが非常勤として来ている(31.9%)」であったが、教員が理想とする連携方法は「PT・OTが常勤でいる(39.2%)」であった。

【考察】高等部教員にPT・OTの認知度が低く、また連携したこともないという回答が多かったのは、自立活動の時間割数減少や教科担任制の影響と考えられる。連携の充足度で療育センター等併設なしの教員の方が併設ありの教員より高かったのは、非常勤PT・OTの存在の影響と考えられ、今回併設なしの学校では定期的な非常勤PT・OTの関わりを有し、非常勤と関わる教員の方が連携の充足度が高いことからも外部専門家導入の有用性が示唆された。PT・OTに期待する支援項目と実際の支援項目ではほぼ同様傾向を示し、また支援に対する満足度も高く一定の評価はできると思われる。PT・OTとの連携方法で教員が有用と感じた方法は、実際と反して直接接触する方法であった。また、教員が理想とする方法は「PT・OTが常勤でいる」であり、PTやOTといつでも必要時に相談できる状態が求められていることが示唆された。

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© 2008 日本理学療法士協会
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