理学療法学Supplement
Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O2-177
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一般演題(口述)
郊外地域住民における身体活動量と突然死関連指標の関連性
木村 朗
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抄録
【目的】
糖尿病患者において突然死関連指標改善は左上肢上腕動脈部の脈波伝搬速度(lhaPWV)と高い関連性を示すことが報告された。国際糖尿病会議において、メタボリックシンドロームの予防を含めた運動指導は包括的に身体活動指導の下で行うべきであるという勧告が2006年に出され、相対的運動量の有効性を確認する必要性が生じている。
本研究では、石川県X町の地域住民のヘルスプロモーション活動の取り組みの一環として、地域住民健康指導中に得られた横断的研究を行い身体活動量とhaPWVおよびVRT、体組成等の関連性を明らかにすることとした。

【方法】
対象者は石川県x町40歳以上の地域住民であった。解析対象者は自治会中高年者からなる組織に依頼し、集会場所、組織関係者にポスター配布および掲示を行い、同セグメント約680名の人口から得られた78名のサンプル集団であり、今回の研究においては健康増進に関心のある研究に同意参加が得られた26名を最終解析対象者とした。農業従事者が半数を占めていた。
男性16名(平均年齢62±9歳、平均体重65±6.8kg、平均体脂肪率25±4%)であった.女性8名(平均年齢56±10歳、平均体重55±9.2kg、平均体脂肪率32±7%)であった.
突然死関連指標改は日本コーリン社製PWV測定装置により左上肢上腕動脈部の脈波伝搬速度(lhaPWV)、左大腿動脈部脈波伝搬速度(lbaPWV)、右左大腿動脈部脈波伝搬速度(rbaPWV)、安静時収縮期血圧(SBP)、安静時拡張期血圧(DBP)、オムロン社製体組成計により筋量率、体脂肪率、ヘデコ社製超音波血流量計により静脈環流機能(VRT)を測定した。
身体活動量は一日あたりのエネルギー消費量について、WHOのIPAQから最多運動量のあった日を選定し、PIPA法にて求めた。
それぞれの測定値間の相関係数を求めた.統計解析にはSPSS ver.10.0 for Windowsを使用した.

【説明と同意】
対象者は研究に参加しない自由を有し、研究の途中であってもその意思によって研究の中断・中止も可能であること、不参加あるいは中断した場合も対象者自身に不利益を被ることがないこと、研究データは管理には十分注意し、研究以外の目的では使用しないことを説明した.また、個人情報は、研究終了後は安全な方法で速やかに破棄した.以上のことは、書面にも記載して説明し同意書への署名を得た。

【結果】
身体活動量との相関係数および有意確率は、男女合わせたデータはlhaPWV r=0.095(p=0.758)、lbaPWV r=-0.389(0.189)、rbaPWV r=-0.26(0.391)、SBP r=-0.118(0.701)、 DBP r=-0.286(0.394)、筋量率 r=-0.003(0.994)、体脂肪率 r=0.069(0.832)、VRT r=-0.659(0.02)であった。性差の影響は相関係数および有意確率とも全体データと異なる項目はなかった。

【考察】
身体活動量は静脈環流機能(VRT)と有意に高い関連性を認められた。しかしながら、左上肢上腕動脈部の脈波伝搬速度(lhaPWV)、筋量率とは相関は有意な値を示さなかった。これは筋量の多寡にかかわらず身体活動量の多寡の影響として足関節の底背屈回数が一定数高くなる活動が多かったとすれば、VRTは血圧がほとんど無い状況ある静脈環流では下腿後面筋の収縮弛緩作用による筋ポンプ作用の活動頻度が静脈環流機能に関係している可能性を現わしていると思われる。今後、身体活動量の構成要因も調べる必要があろう。
身体活動量の絶対値は、片麻痺患者において糖尿病を合併している者で一定量が左上肢上腕動脈部の脈波伝搬速度(lhaPWV)の自然低下を防ぐという報告があるが、本研究の結果は、横断研究であって介入によるベースラインからの加重効果については同じように比較して言及することができない。この点はコホート研究により加重効果について検証することが必要であろう.

【理学療法学研究としての意義】
血管病変による動作能力低下の改善要因を探る中で、身体活動量と静脈環流機能(VRT)の関連性が見出されたことは、身体活動量とVRTが比例する現象を基に臨床判断指標を見出す上で、日常生活動作を妨げる静脈性疾患の発生を予防するために必要な予防的理学療法の末梢静脈血管機能の維持・改善、健康増進に役立つエビデンスの重要な基礎となる。
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© 2010 日本理学療法士協会
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