抄録
【目的】
当ステーションは平成17年5月より訪問看護7での訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)を立ち上げている。訪問リハビリには終了期限がなく、当ステーションでは明確な終了基準が設けられていない。今回、訪問リハビリ終了者の終了理由と介入期間の特徴を知る為に調査した。
【方法】
対象は平成17年5月から、平成21年9月に訪問リハビリを終了した111人、男性48人、女性63人をカルテ情報より収集調査した。調査項目は終了者の年齢(終了時)、疾患、訪問リハビリ終了理由、入院期間を含む訪問リハビリ介入期間、要介護度の変化(訪問リハビリ介入時から終了時、医療保険利用者のうち1名は取得なし)とする。また、終了理由ごとの介入期間、疾患、要介護度の変化の割合をそれぞれ調査した。
【説明と同意】
カルテ情報からの収集調査の為、情報公開を行なう。
【結果】
年齢は52歳から93歳、平均79.9±8.6歳。疾患別の割合は整形28%、脳血管32%、呼吸器7%、難病9%、内部疾患13%、その他11%。終了理由は(1)軽快16%、(2)死亡29%、(3)入院25%、(4)施設入所11%、(5)他サービスへ移行6%、(6)その他14%。介入期間は1年未満61%、1年から2年未満26%、2年から3年未満6%、3年から4年未満6%、4年から5年未満1%。要介護度の変化は軽度化10%、維持57%、重度化33%。(1)軽快:1年未満71%、2年未満に全員終了。疾患は整形82%、脳血管18%。要介護度の軽度化は29%であった。(2)死亡:1年未満47%、1年から2年未満31%、3年から4年未満16%、2年から3年未満、4年から5年未満はそれぞれ3%であった。要介護度は重度化が44%であった。(3)入院:1年未満72%、1年から2年未満、2年から3年未満それぞれ12%、3年から4年未満4%で全員終了。 (4)施設入所:1年から2年未満67%、2年から3年以上33%で全員終了。(5)他サービスへ移行::1年未満66%、1年から2年未満、2年から3年未満それぞれ17%で全員終了。(6)その他:1年未満に76%が終了しており2年未満に全員終了。
【考察】
(1)軽快は82%が整形疾患で2年未満に全員が終了し、他の終了理由と比較し介入期間が短かった。要介護度では軽度化が全体と比較し29%と割合が高かったことから、利用者の日常動作の改善が終了につながったと考える。(2)死亡では要介護度重度化の割合が44%と全体と比較し高かった。終了理由全体の死亡割合は29%と最も高かったが、介入期間では1年未満は47%で全体と比較し低く、1年から2年未満31%、3年から4年未満16%で全体と比較し高いことから、利用者が最期まで在宅生活を送る為の援助の一つとなれていたと考える。(3)入院は1年未満で72%が終了しており、全体と比較し高い割合であった。状態悪化による入院もあるが、転倒、骨折による入院もあり、移乗、移動能力の向上してきた時期と同じくして生じている例がある。利用者、また家族へも転倒の可能性を示していかなければならない。(4、5、6)施設入所、他サービスへ移行は3年未満、その他の理由では2年未満で終了している。軽快での終了も合わせると、終了者全体の約半数は利用者、家族の意向、選択のもと終了していることがわかった。
【理学療法学研究としての意義】
今回の調査で終了理由の約半数が死亡、入院による継続の選択不可能な場合で終了、約半数が選択のもと終了しており、期間は半数以上が1年未満に終了していることがわかった。明確な目標設定を行なわず、永続的に訪問リハビリを継続することには賛同し兼ねるが、個人が住みなれた地域で生活できるよう他サービスと協力し、継続的に関わることも訪問リハビリの役割であると改めて感じた。