理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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脳血管障害患者が自宅に退院するために必要な要因(第2報)
今村 純平古賀 久征宮原 賢司川﨑 サチ川崎 かおり稲田 美保柴田 元
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p. Bb0537

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抄録
【はじめに】 我々は、第45回日本理学療法学術大会において脳血管障害患者が自宅に退院するために必要な要因について検討し、退院時Barthel Index(以下、BI)が最も影響する項目であり、そのカットオフ値は60~65点であることを報告した。今回、患者の社会背景因子と退院先の関係を調査し検討を行った。【方法】 対象は、平成22年度に当院に入院した脳血管障害患者111名のうち、抄録作成時点で退院していない2名、死亡退院者10名を除外した99名を分析対象とした(73.0±11.2歳、男性50名・女性49名、発症から入院までの日数:29.6±24.8日、脳梗塞45名・脳出血31名・くも膜下出血6名・その他17名)。退院先を目的変数(自宅以外:0、自宅:1)とし、年齢・性別・配偶者の有無・家族構成・介護力・入院時の退院先家族要望(以下、家族要望)・高次脳機能障害の有無・回復期リハ病棟転入時のスタッフと家族の面談(以下、転入時カンファレンス)の有無・入院時Barthel Index(以下、BI)・退院時BI・当院入院期間の11項目を説明変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。家族構成は、入院時の家族からの情報をもとに、単身(0)・夫婦(1)・二世代同居(2)・三世代以上同居(3)とした。介護力は、入院時の家族からの情報をもとに、ほぼなし(0)・ほぼなしと常時1名相当の間(1)・常時1名相当(2)・常時2名相当以上(3)とした。家族要望は入院時のアンケート情報から、自宅以外を希望または不明(0)・自宅を希望(1)とした。説明変数の選択は、回帰係数の有意性(p値)が0.1を超える説明変数を、p値が高いものから順に1項目ずつ除外し、全ての説明変数のp値が0.1未満になるまで継続した。【倫理的配慮、説明と同意】 個人情報についてはヘルシンキ宣言に基づいた規定に遵守し、入院時にその使用について本人及び家族に説明し同意を得た。【結果】 退院先別の各変数情報は以下の通りである。自宅退院群は57名であった(年齢は71.7±12.1歳、性別は男性32名・女性25名、配偶者は有34名・無23名、家族構成は0:11名・1:16名・2:20名・3:10名、介護力は0:12名・1:27名・2:18名、家族要望は0:6名・1:51名、高次脳機能障害は有35名・無22名、転入時カンファレンスは実施40名・非実施17名、入院時BIは36.3±28.3点、退院時BIは76.9±29.0点、当院入院期間は104.2±54.4日)。自宅以外への退院群は42名であった(年齢は74.7±9.6歳、性別は男性18名・女性24名、配偶者は有24名・無18名、家族構成は0:8名・1:13名・2:16名・3:5名、介護力は0:13名・1:22名・2:6名・3:1名、家族要望は0:26名・1:16名、高次脳機能障害は有7名・無35名、転入時カンファレンスは実施14名・非実施28名、入院時BIは9.2±17.1点、退院時BIは21.9±30.7点、当院入院期間は136.0±62.3日)。退院先を決定する変数として、家族構成と家族要望、退院時BIが選択された。オッズ比は家族構成が2.418、家族要望が17.081、退院時BIが0.945であった。変数の有意性は、家族構成がp<0.05、家族要望と退院時BIがp<0.01であった。予測値と実測値の判別的中率は87.9%であった。【考察】 脳血管障害患者の退院先に影響を与える因子は、退院時のADL能力をベースにしながらも、家族の希望が大きく影響し、入院時点で予測可能であることが示唆された。同居する家族が多いことは自宅退院に有利に働く要因であることが示唆された。反面、介護力は退院先を決定する因子としては選択されなかった。家族が退院先を決定するにあたり、介護力は主要な因子ではなく、家族が持つ特有の問題が影響している可能性が示唆された。これらを早期に把握し対応することが自宅復帰率を向上させることにつながるとともに、入院時に家族から自宅退院の希望が聴取できない症例については、早期から退院先を幅広く検討することが重要といえる。我々の調査では、発症直後の脳血管障害患者の入院時と退院時のBIは低い相関関係にあることが分かっている。退院時のADL能力をなるべく早い時期に予測することは今後の課題であり、具体的な退院支援を行う上で有効と考える。【理学療法学研究としての意義】 自宅復帰に影響を与える因子や基準を示すことは、効率的・効果的な在宅支援を可能にすると考えられ、地域連携および病床管理の視点からも重要である。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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