抄録
【はじめに】 平成23年3月11日に発生した東日本大震災において、当院は岩手県陸前高田市へ平成23年3月20日~7月1日にかけて医療支援チームを派遣した。その中で、3月30日~4月15日は理学療法士がチームに参加し第2班~4班として支援活動を行ったのでその報告をする。【活動の概要】 当院の医療支援チームは医師・看護師・薬剤師を中心に10名程度で構成され、各班1週間程度ずつ活動を行った。当院は、市内竹駒地区を担当することとなり、竹駒地区の公民館に診療所を開設し診療活動を行った。理学療法士は診療所を活動拠点として活動し、避難所や個人宅での訪問リハビリ(以下、リハ)や運動指導、診療所での理学療法の提供を行った。2班・3班は高齢者避難所を中心に活動し、4班は竹駒地区内の避難所、診療所を中心に活動を行った。理学療法の提供人数は2班7名、3班5名、4班12名。疾患内訳は、腰痛・膝痛などの慢性疼痛が50%、脳血管障害による後遺症20%、糖尿病による歩行障害10%であった。【考察】 災害発生後3週間での派遣で、医療機関・介護保険サービスがほぼ壊滅しており、他に支援活動をしている理学療法士もいないためリハニーズに関する情報が非常に乏しく、避難所を巡回訪問している保健師の支援チームや、当院の診療所スタッフと連携をとりながら活動した。保健師の支援チームのミーティングへの参加、避難所の巡回訪問や個人宅への訪問へ同行し、リハニーズの発掘を行った。高齢者避難所の訪問で理学療法を実施した被災者として、脳血管障害の後遺症でベッドでの生活や自宅内など限られた環境ではADL自立できていたが、避難所で布団や床での生活になることによって立ち上がり、歩行する機会が減少し廃用症候群となった人。被災前は歩行・ADLも自立していた高齢者で、震災のショックで不活発になったことにより、寝たきりとなり褥瘡が発生している人がいた。このようなケースにおいては、継続した訪問リハの実施と、避難所の看護ボランティアスタッフの協力により歩行が可能となったケースを経験した。在宅避難者においても、介護保険サービスが停止したことにより関節拘縮や褥瘡を悪化させているケースがみられた。このようなケースに対しては、診療所医師の往診時に同行し家族に対してポジショニングの指導や関節可動域訓練の指導を行った。慢性疼痛のケースについては、瓦礫の片付けや慣れない避難所生活で症状が増悪しているケースが見られた。今回の支援活動で留意した点としては、元来この地域にあった医療資源をもって可能なこと以上の介入はしないこと、なるべく今回の災害が原因で新たに発生している問題へ介入するという事である。また危惧した点としては、当院の支援活動もいつまで継続するのか未定であったため、長期的に介入が必要な活動は継続できない可能性があるという事であった。4月10日より日本理学療法士協会、岩手県理学療法士協会が市内での活動を開始し、高齢者避難所にも介入する予定であるとのことであったため、2班・3班で行っていた高齢者避難所での活動は継続してもらうことができた。また、4班が行っていた訪問リハ活動についても、4班活動終了時に両協会の支援スタッフに情報提供を行った。災害発生後3週という時期で、リハが支援活動を行うには比較的早期であったと思われるが、今回のような大規模災害においては、慢性疾患を増悪させるケースや、すでに廃用症候群を起こしているケースも散見され、リハ専門職も早期から介入していく必要があると感じた。