理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
膝前十字靱帯再建術後の反対側損傷に関する調査
中山 誠一郎今屋 健藤島 理恵子田中 龍太遠藤 康平川村 麻衣子戸渡 敏之
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p. Ca0250

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抄録
【目的】 膝前十字靱帯(ACL)再建術後の反対側損傷は、同側の再断裂と同様、スポーツ復帰を妨げる重篤なリスクの一つである。本研究の目的は、当院にて初回ACL再建術後に反対側ACLを損傷した症例に関する調査を行い、両側ACL損傷の傾向を明らかにすることである。【対象と方法】 当院において、2005年1月から2010年12月までの6年間に初回ACL再建術(STG1867件、BTB222件)を施行した症例は2089名であった。対象は8ヶ月以上のfollow upが確認できた1618名(77.5%)のうち、反対側のACLを損傷した42名82膝である。上記42名について、(1)性別、各年代での損傷率、(2)初回ACL再建術から反対側ACL損傷までの期間、(3)受傷形態が内因性(非接触型損傷)か外因性(接触型損傷・介達型損傷)か、(4)スポーツ種目について調査した。統計処理は、t検定とχ2検定を用い、統計ソフト(Dr.SPSS II for Windows)にて解析し、有意水準は5%とした。【説明と同意】 対象者には本研究の目的、内容、個人情報の保護について口頭にて説明し、同意を得たうえで調査を行った。【結果】 (1)全体の反対側ACL損傷率は2.6%(42/1618名)、男性の反対側損傷率は2.1%(17/793名)、女性は3.0%(25/825名)で、男女での有意差はなかった。また10代での反対側損傷率は男性4.4%(8/184名)、女性4.7%(18/383名)、20代は男性1.7%(6/354名)、女性2.6%(5/195名)、30代は男性1.1%(2/187名)、女性0.8%(1/122名)、40代は男性1.9%(1/52名)、女性1.0%(1/99名)であった。各年代では10代が他の年代に比べ有意に高く(P<0.05)、30代が他の年代に比べ有意に低かった(P<0.05)。性別間で損傷率に有意差はなかった。初回損傷時の平均年齢は男性23.6歳、女性19.0歳で有意に女性の年齢が低かった(P<0.05)。(2)初回の再建術から反対側損傷までの期間は、男性21.4ヶ月、女性20.4ヶ月で有意差はなかった。(3)初回受傷が内因性損傷であった24名のうち、18名が内因性、6名が外因性の反対側損傷であった。また、初回受傷時が外因性損傷であった18名のうち、8名が外因性、10名が内因性の反対側損傷であったが、これら4群の損傷数に有意差はなかった。(4)スポーツ種目は、42名中5名が初回と反対側損傷時に違うスポーツ種目であったが、それ以外の37名は同じ種目で両側を損傷していた。上位種目はバスケットが7名、アメリカンフットボールとサッカーが5名、ラグビーとラクロスとスキーが3名、その他が11名であった。【考察】 今回の結果から、初回ACL再建術後の反対側損傷は10代が他の年代に比べ有意に多いことがわかった。以前の我々の調査から、ACL再建術後の再断裂に関しても、他の年代にくらべ10代の再断裂率が高いことがわかっており、今回の反対側損傷も同じく10代という年代が反対側ACL損傷のリスクファクターになることが示唆された。また、我々は受傷機転に関して内因性と外因性の損傷を明確に区別している。すなわち外因性は事故的な要因が強く、いわば避けられない損傷であるが、内因性の損傷は機能的要因が強く、我々理学療法士が損傷の予防に関与できる部分が多い。今回、統計学的な有意差はなかったものの、初回内因性損傷後に反対側損傷を内因性で発症したものは24名中18名で、外因性6名の3倍であった。臨床的にも内因性の損傷後の症例は、運動特性や身体機能的にACLを損傷しやすい要因が多い印象があり、スポーツ復帰の際に注意を要する。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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