理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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若年者における体脂肪率および骨格筋量と質問紙法による身体活動量の関係
河合 克尚亀山 咲子横川 吉晴大平 雅美
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p. Db1216

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抄録
【目的】 近年,世界中でメタボリックシンドローム該当者または予備軍が増加しており,心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクを高めることから問題視されている。メタボリックシンドロームの予防・改善に対する効果的な手段として,身体活動量(PA)の増加が推奨されており,PAを評価・把握することは重要なことである。PAの評価方法は様々であるが,質問紙法は高価な測定機器も必要なく,身体に対する負担も少ないことから,疫学研究や臨床研究において広く用いられている。その一つとして,世界保健機関のワーキンググループが作成した国際標準化身体活動質問表(IPAQ)がある。本邦においても,IPAQ日本語版の信頼性・妥当性が検証されている。しかしながら,IPAQにより推測されたPAと体組成との関係を検討した研究は少なく,統一した知見は得られていない。そこで本研究では,若年者における体脂肪率および骨格筋量とIPAQの関連性について検討した。【方法】 対象は,18歳以上30歳未満の健常な男女60名(男性25名,女性35名)とした。測定項目は,身体所見として身長,体重,BMI,腹囲を測定した。体脂肪率および骨格筋量の測定には,ボディーコンポジションアナライアザーInBody430を用いた。身体活動量の調査には,IPAQ日本語版Long Versionを用いた。IPAQは,平均的な1 週間における高強度および中等度のPAを行う日数および時間を質問するものである。仕事中,移動中,家庭内,余暇時間などの生活場面別に質問するLong Versionと,強度別のみで質問するShort Versionの2種類がある。本研究では,生活場面別と強度別の両者を調査できることからLong Versionを用いた。1週間のPAは,得られた各強度に相当するMetsと活動時間に基づき算出した。統計学的解析は,統計解析ソフトSPSS 13.0J for Windowsを用い,体脂肪率および骨格筋量とIPAQによるPAの関係について,Spearmanの順位相関係数にて検証した。なお,有意水準は5%未満とした。【説明と同意】 全ての対象者に対し,本研究の趣旨を十分に説明し,書面にて参加の同意を得た。なお,本研究は信州大学医学部倫理委員会および平成医療短期大学倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】 対象者の特性は,平均年齢20.8±2.5歳,BMI20.5±2.9kg/m2,腹囲73.8±8.2cmであった。体脂肪率および骨格筋量とIPAQによるPAの関係については,体脂肪率と余暇時間および高強度のPAにおいて有意な負の相関が認められた(余暇時間;ρ=-0.29,高強度;ρ=-0.27,P<0.05)。また,骨格筋量と余暇時間および高強度のPAにおいて有意な正の相関が認められた(余暇時間;ρ=0.38,高強度;ρ=0.36,P<0.01)。【考察】 本研究では,若年者における体脂肪率および骨格筋量とIPAQの関連性について検討した。その結果,体脂肪率および骨格筋量とIPAQによる余暇時間および高強度のPAに弱いながら有意な相関が認められた。先行研究においても,IPAQによる生活場面別では余暇時間のPAとウエスト・ヒップ比,中性脂肪,HDLコレステロールに相関があることが報告されている。また,活動強度別では高強度のPAと拡張期血圧,ウエスト・ヒップ比,中性脂肪,HDLコレステロール,非空腹時血糖に相関があることが報告されている。これらは,IPAQによるPAが形態や脂質代謝と関連があることを示唆している。したがって,若年健常者の場合,体脂肪率および骨格筋量は,IPAQで求めた一部のPAと関連している可能性がある。【理学療法学研究としての意義】 体脂肪率および骨格筋量とIPAQによる余暇時間および高強度のPAに相関が認められたことから,IPAQが若年者の体脂肪率および骨格筋量を把握するための簡便な手段となる可能性が示唆された。しかし,これらの相関は弱いものであったため,更なる検討が必要であると考える。また,今回は健常若年者を対象に検討したが,今後は糖尿病や肥満などの生活習慣病を有する対象者においても検討を進めたい。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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