理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
会議情報

テーマ演題 口述
NSTに”Why”参加するのか?”How”情報を活用するのか?
─PT・OT・STのリハビリテーション栄養に対する意識調査2011─
坂田 晋一高橋 浩平若林 秀隆
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p. Dc0389

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抄録
【はじめに、目的】 栄養サポートチーム(以下NST)が1500以上の病院に普及し、チーム医療の考えのもとPT・OT・STがNSTに参加している。STを中心に摂食嚥下の情報共有に参加意義を見出す一方、リハビリテーション(以下リハ)職種がNSTに対して「なぜ参加する必要があるのか」「どのように情報活用をするのか」と悩む意見も少なくない。日本静脈経腸栄養学会認定の臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有するNST専門療法士は3887人中PT3名OT1名ST6名であり、その為リハと栄養の双方を理解しリハ介入している方は少数と考えられる。超高齢社会では低栄養状態の外科周術期や内科慢性期患者の増加が見込まれる。しかし現状では栄養面を考慮せずに積極的なリハがなされる場面も少なくない。リハ職種が適切なリハをする為に、リハ栄養に関する知識が必要とされてきている。リハ栄養とは、栄養状態も含めてICFで評価し、障害者や高齢者の機能・活動・参加を最大限発揮できる栄養管理を行う事である。「栄養ケアなくしてリハなし」「リハにとって栄養はバイタルサイン」と提唱されている。本研究で、NSTに対するリハ職種の参加意義の認識や活用方法を調査した。回答内容について内容分析を行い、パターン化の中で階層性集約を行い、考察した。【方法】 平成23年2月に上尾中央医科グループ(以下AMG)リハ学会にて共同研究者の若林によるリハ栄養の講義を行い、同年6月AMGリハ部を対象に、GoogleFormを用いた配表調査法によるアンケート調査を行った。調査内容は、NST稼働・参加の有無・参加意義の是非・情報が有用かの是非・栄養関連語句の認知等は2項選択制で実施し、NSTに対するリハ職種の参加意義・活用情報の内容は自由回答法で実施した。分析は自由記載項目について内容分析を行い、理論的な意味をもつキーワードを決定し、カテゴリー分類し検討した。【倫理的配慮、説明と同意】 AMG及び、全対象者に学術的用途限定の使用と発表の了承を頂き、実施した。【結果】 AMGでは43施設(25病院18老健)、1231名中805名(PT450名OT249名ST106名)から回答を得た(回収率65.4%)。リハ栄養の講演は242名が参加していた。NSTは13病院で稼働し88名(PT23名OT10名ST55名)が参加していた。栄養関連語句は、「リハ栄養」は389名「NST専門療法士」は278名に認知されていた。またNST専門療法士を目指している方は38名だった。各施設のNSTや栄養マネジメントの稼働は606名(75%)が認知し、NSTにリハ職種の参加意義があると775名(96%)が回答し、栄養状態把握505名、適切なリハ介入の為479名、チーム医療の為277名、全身状態把握151名等が理由として挙げられた。具体的には運動負荷設定の判断材料94名、摂食嚥下の情報伝達・共有70名、活動量の情報伝達・共有・判断材料63名等で参加意義を挙げていた。リハ職種がNSTに参加意義がないとした30名の理由は、PTOTの参加意義が見出せない13名、よくわからない10名、NSTの知識がない8名等であった。NSTの情報が役立つと回答した人は786名で、活用情報の内容を集計した。栄養状態に関する情報378名、適切なリハ介入の為の情報327名、数値化できる判断材料316名、全身状態に関する情報230名、栄養手段の知識169名等であった。有用な項目は、運動負荷の為の情報142名、食事量108名、カロリー106名、食形態83名、体重54名等であった。その他にも運動する時間帯や、食事や褥瘡への姿勢介入、退院後の生活、食事制限患者の指導、疾患別栄養管理、精神面の影響、TP・Alb・電解質・血糖値等の検査データ、高エネルギー食品、水分量の検討等が挙げられた。【考察】 リハ職種がNSTに「なぜ参加する必要があるのか」について、一般的には摂食嚥下や食事の情報伝達が挙げられる。さらにリハ栄養の理解が進む事で、栄養状態を把握する事や、適切なリハ介入の為にNSTの参加意義を見出す人が増えてきている。「どのように情報活用をするのか」について、栄養状態や全身状態を把握して、適切なリハ介入を行う為にNSTの情報を活用すると挙げられた。特に運動負荷が可能な状態かを判断する為に、食事量や体重増減など普段把握出来る情報のみならず、摂取カロリーや消費カロリー、検査値等の数値的な情報を多職種で考えた結果や理由を知る事を挙げている。また栄養手段の知識に関しては、適切な摂食嚥下リハの為だけでなく、転帰先に対するアプローチを多職種で行う事や、リハ介入時間や時間中の水分・栄養摂取等にも関連していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 NSTは全国に普及したが、リハ職種の参加意義の認識や活用方法に共通見解は得られていない。超高齢社会では、低栄養の外科の周術期や内科の慢性期の患者様が増加すると考えられ、適切なリハをする為に、リハ栄養の知識は必要である。日本リハ栄養研究会へのPTの参加も増加している。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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