理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
地域在住中高齢者における自主参加型体操グループへの参加中止に関連する要因
植田 拓也柴 喜崇戸崎 麻紀子渡辺 修一郎
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キーワード: 高齢者, 運動継続, 要因
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p. Ea0341

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抄録
【はじめに、目的】 高齢者人口の増加にともない,高齢者が運動することの意義は多く報告されている.その上で,どのように運動継続を実施していくかが今後の課題となっている.地域在住高齢者が運動継続するための要因としてグループでの運動の実施が必要であるとの報告がある(吉田,2006).一方,自主参加型体操グループで運動を実施している地域在住高齢者における参加中止に関連する要因についての検討は少ない.そこで本研究では自主参加型体操グループ(以下,体操グループ)に参加している地域在住中高齢者における,体操グループへの参加中止に関連する要因を検討することを目的とした.【方法】 対象は神奈川県S市のラジオ体操会会員から募集し2009年のベースライン調査に参加した地域在住中高齢者86名のうち,2011年の調査への不参加者に対する電話調査の協力を得られなかった13名を除く73名(男性31名,女性42名,平均年齢70.3±5.3歳)とした.参加者には体力測定およびアンケート調査を実施し,調査項目の欠損のなかった者を分析の対象とした.調査項目は,体操会への参加の有無,年齢,身長,体重,Body Mass Index(BMI),円背指数,握力,開眼片脚立位時間(OLS),立位体前屈,Timed Up and Go Test,5m最大および通常歩行時間,膝伸展筋力,老研式活動能力指標,WHO5精神的健康度評価表(WHO-5),Fall Efficacy Scale Internationalを調査した.調査への不参加者には電話による聞き取りを実施し,体操会への参加の有無を聴取した.また,参加中止している者には中止理由についても聴取した. 統計解析は,体操グループへの参加中止に関連する要因を明らかにするために,体操会への参加継続の有無を従属変数(継続=0/中止=1)とし,変数増加法による多重ロジスティック回帰分析を行った.【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は桜美林大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施し,対象者には口頭および書面にて十分な説明を行い,書面にて同意を得た.【結果】 2009年の調査参加者の内,体操会への参加継続者は53名(72.6%),参加中止者は20名(27.4%)であった.変数増加法による多重ロジスティック回帰分析の結果,年齢(オッズ比;0.84,95%信頼区間;0.73-0.98,p=0.023),BMI(オッズ比;0.677,95%信頼区間;0.47-0.98,p=0.037),開眼片脚立位時間(オッズ比;0.96,95%信頼区間;0.93-0.99,p=0.020),WHO-5(オッズ比;0.78,95%信頼区間;0.64-0.96,p=0.016)の4項目が体操グループへの参加中止を有意に低減させていた.中止の理由は,疾病への罹患・増悪5名(33.3%),疼痛の出現4名(26.7%),他の運動・趣味の開始3名(20%),死亡2名(13.3%),億劫になった1名(6.7%)であった.【考察】 本研究では自主参加型体操グループに参加している地域在住中高齢者の体操グループへの参加中止に関連する要因を検討した.その結果,2年後の体操グループへの参加中止を低減させる要因として,ベースライン調査時の年齢が高いこと,BMIが高いこと,開眼片脚立位時間が長いこと,精神的健康状態が良いこと,の4項目がそれぞれ独立して関連することが明らかになった.先行研究では,年齢が高いことが調査や運動からの脱落に関連するとされている(Chatfield,2005)が,本研究では先行研究の知見とは異なり,年齢が低いほど体操グループへの参加を中止するという結果となった.これは,本研究の対象者が,自主的に体操グループに参加している地域在住中高齢者であり,参加者の年齢層では比較的若い50代,60代の参加者ほど別の運動・趣味などを開始し,体操グループへの参加を中止していたことが考えられた. また,脱落者においてベースライン時の開眼片脚立位時間が低下していたという報告(柴田,1985)もあり,本研究でも先行研究を支持する結果となっている.以上のことから,自主的に体操グループに参加している地域在住中高齢者においても参加継続には体力水準の維持も重要な要素であることが示唆された.また,脱落理由から,自主的に体操グループに参加している高齢者においては,特に疾患への罹患や疼痛の出現などが参加の中止に関係していると予測され,これらの予防的な視点が今後の理学療法介入の上では重要であると考えられた.【理学療法学研究としての意義】 今後高齢者人口が増加していく中で,高齢者における運動の継続は重要な課題となっている.しかし,高齢者の身体機能については個人差が大きくなることはよく知られており,理学療法士として高齢者の生活機能の低下や疾病の予防に関わっていく上では,個人差を考慮し,身体機能および生活機能レベル別に必要な介入方法を検討していく必要があると考えられる.本研究は元気高齢者の介護予防・疾病予防に対する介入の一助となると考えられ,理学療法学研究としての意義は高いと考える.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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