理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
当法人におけるロコモティブシンドロームへの取り組み
山田 鷹宇治 春菜森元 貴史小林 久文林川 将吾鈴木 健大平山 和哉朴 相俊
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p. Ea0954

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抄録
【はじめに】 日本整形外科学会はロコモティブシンドローム(以下ロコモ)という新たな概念を提唱し、その早期発見や予防、治療を推奨している。複数の整形外科クリニックからなる当法人でも、ロコモを対象とした身体機能を中心とした評価、およびその結果を受けての運動指導(ロコトレ)を平成23年7月より実施している。今回は、その取り組みの現状と今後の展望について述べる。【対象および方法】 対象は、当法人のクリニックを受診しているロコモの疑いのある患者の内、平成23年10月現在までに評価を実施できた22名(男性2名、女性20名、平均年齢69.3歳)とした。自己記入式質問表によるものとしてロコチェック(7項目)、足腰指数25(25問、各4点満点;無症状0点~最重症100点)を、また運動機能等の評価として身長、体重、「健脚度®」測定(10m全力歩行・最大1歩幅・40cm踏台昇降・つぎ足歩行)、Timed Up & Go test(以下TUG)、開眼および閉眼での片脚起立時間、握力、microFET2(Hoggan Health Industries, Inc)を用いて股関節屈曲および膝関節伸展筋力の測定を実施した。足腰指数25の点数が16点以上のものをロコモ群、16点未満のものを非ロコモ群とし、両群間での各測定値の比較の際にはSPSS 17.0 J for Windowsにより対応の無いt検定を行った。なおすべての有意水準は5%未満とした。【説明と同意】 対象者には、ヘルシンキ宣言に基づき書面および口頭により、あらかじめ研究の目的および内容を説明し、本研究への参加の同意を得た。【結果】 足腰指数25の平均点は20.0点でロコモ群12名、非ロコモ群10名であり、ロコモ群は全体の約55%であった。またロコチェックで1つ以上に該当した陽性者は、16名で全体の約73%であった。ロコチェックで何も該当しなかった6名の対象者は、全員足腰指数25で16点未満であり非ロコモ群に該当した。両群間での運動機能等を比較すると、全体的に非ロコモ群と比較してロコモ群の成績が低い傾向であったが、統計学的有意差を認めたのは、ロコチェック該当数、左右の最大1歩幅、TUGのみであった。ロコチェック該当数およびTUGではロコモ群が有意に高い結果となり、左右の最大1歩幅に関してはロコモ群が有意に低い結果となった。また、年齢別の5段階評価基準(1:劣っている~5:優れている)が定められている「健脚度®」測定・TUG・握力の全8項目に関して、ロコモ群ながら8項目全てで3以上となる者が3名認められた。一方非ロコモ群であるが、やや劣っている判定となる2となる項目を有する者が4名認められた。【考察】 ロコモ群と非ロコモ群との運動機能等の比較において、全体的には非ロコモ群と比較してロコモ群の成績が低い傾向であり、ロコチェック該当数、左右の最大1歩幅、TUGでは有意な差を認めた。しかしながら個別に見た場合、ロコモ群ながら8項目全てで同年代の平均以上の運動機能を有する者や、一方で非ロコモ群であるが同年代の平均以下の機能となっている項目を有する者を認めた。星野らによると、足腰指数25の設問の作成段階において「質問内容を運動機能のみではなく、回答者の日常生活動作の困難さ、さらには健康感に及ぶものも導入した」としている。今回のように、ロコモ群でありながら比較的高い運動機能を有する者や、非ロコモ群ではあるものの同年代の平均を下回ってしまう項目を有する者が認められた理由として、日常生活動作の困難さや健康感に関する捉え方の相違が影響を及ぼしているのではないかと考えられる。しかしながら現状の項目だけではこの部分についての検証を行うことは困難であり、あくまで推測の域を脱しない。特に今回非ロコモ群でありながら運動機能の低下している項目を有する者に関しては、積極的な介入が必要と考えられるため、今後足腰指数25の各設問に対する捉え方に対してのさらなる検証が必要と考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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