理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
重症心身障がい児・者の外出支援
─介護職の意識とPTが行うべき支援・連携─
長島 史明中川 尚子西尾 玲子川﨑 麻由子稲葉 亜希子南條 浩輝遠藤 光洋前田 浩利
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p. Eb0585

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抄録
【はじめに、目的】 在宅で療養する重症心身障がい児・者(以下、障がい児・者)にとって外出は社会参加の機会となりQOL向上に寄与する。しかし移乗・移動の困難さや医療機器の取り扱い等が障壁となり、当事者や家族の負担は大きい。理学療法士(以下、PT)は、車椅子の選定・作製や家族への介護方法の指導等を中心に支援を行うが、介護職との連携も必要となる。本研究は、介護職に対して障がい児・者の外出支援に関する意識を調査し、PTが行うべき支援や連携の方法を検討することを目的とした。【方法】 移動介護従業者養成研修に参加した介護職24名(男6名、女18名、平均年齢36.96±14.7歳)を対象として、無記名自記式の質問紙調査を実施した。質問項目はまず参加者のプロフィールとして経験年数、障がい児の居宅介護の経験人数(以下、経験人数)、医療的ケアを必要とする障がい児の経験人数(以下、医ケア経験人数)等を設定した。また外出支援に関する意識として(1)支援対象者の有無、(2)年齢、(3)疾患、(4)場所、(5)医師、看護師、PT等の医療専門職と連携したいと思うか、(6)外出支援の際に不安に思うこと、(7)現在の居宅介護の際に不安に思うことの全7項目を設定した。回答形式について、(1)は「いる」・「いない」の2項選択法、(2)は就学前、学齢期及び学齢期以降を概ね10歳毎に分類した項目について多肢選択法、(3)、(4)はそれぞれ多肢選択法、(5)は「非常にそう思う」・「ややそう思う」・「どちらでもない」・「あまりそうは思わない」・「全くそう思わない」の5段階評定尺度法とした。(6)、(7)については研修テキストを参考に、実際に不安に思うと考えられる項目(障がいの特徴、車椅子の取り扱い、姿勢保持、コミュニケーション、医療的ケアなど)を作成し、いずれも多肢選択法とした。分析は(1)~(5)により介護職の外出支援に関する意識を調査、(6)、(7)に関しては介護職の特性による不安要素の違いを把握するために、経験年数及び経験人数について、それぞれ中央値を用いて2群に分けて回答数を比較した。また医ケア経験人数についても、あり・なしの2群に分けて回答数の差を比較した。統計学的手法はMann-WhitneyのU検定を行い、有意水準は5%未満とした。解析にはR2.8.1を使用した。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には調査趣意書に基づき、本研究の目的と方法を口頭で十分説明し、質問紙の回収をもって自由意志に基づく研究参加の同意とした。【結果】 調査の同意を得た23名を回収した(回収率95.8%)。外出支援について、23名中21名(91.3%)が現在具体的に支援をしたい人がいると回答しており、対象者の年齢は学齢期および20~30歳の成人期初期の方が多く、疾患は脳性麻痺が半数以上を占めていた。また支援場所については散歩、買い物、外食等の日常生活の延長上と考えられる場所が多かった。医療専門職との連携については「非常にそう思う」、「ややそう思う」を合わせると87.0%が必要と回答していた。外出支援の際に不安に思うことに関する回答数については、経験年数、経験人数による明らかな差はみられなかった。しかし医ケア経験人数による差がみられ、経験あり群(1.64±1.12項目)に比べて経験なし群(2.83±1.4項目)では回答数が有意に多かった(p<0.05)。回答項目の内容については、経験なし群では「姿勢保持・移乗」、「医療機器の取り扱い・医療的ケア」、「事故対応」、「コミュニケーション」の順に多く、多岐に亘っていた。経験あり群では「医療機器の取り扱い・医療的ケア」、「事故対応」の順に回答が多かった。現在の居宅介護の際に不安に思うことに関する回答数については、有意な差はみられなかったものの経験あり群(1.45±1.29項目)に比べて経験なし群(2.58±1.51項目)の回答数が多く、回答項目の内容も外出支援の際に不安に思うことと同様の傾向がみられた。【考察】 介護職は重症児・者の居宅介護を通して、外出支援について具体的なイメージを持っており、その際にはPTを含めた医療専門職との連携の必要性を感じていた。また外出支援の際に不安に思うことについては、医ケア経験人数により特性があることがわかった。経験がない場合に不安に感じている「姿勢保持・移乗」、「コミュニケーション」等についてはPTが支援していくべき項目であると考えられた。また経験がある場合に不安に感じている「医療機器の取り扱い・医療的ケア」、「事故対応」については個別性が高く、当事者・家族、介護職、PTを含めた医療専門職の間の情報共有や連携が必要になると考えられた。【理学療法学研究としての意義】 今回の調査により、障がい児・者の外出支援に関する介護職の意識及び特性が明らかとなり、PTが行うべき連携・支援の方法を考える上で有用な情報となった。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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