理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
転倒予防教室における評価の効率化に向けての取り組み
一瀬 裕介成田 悠樹
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キーワード: 転倒予防教室, 評価, 効率化
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p. Eb0616

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抄録
【はじめに、目的】 当院では平成18年度よりN町からの依頼を受け、地域在住高齢者を対象とした介護予防事業としての転倒予防教室を実施している。定められた日程のなかで初期評価、最終評価にかける労力は少なくなく、各年度の評価項目については、測定の簡便性や参加者の負担、運動プログラムとの関連性などを考慮し、自治体の担当者と協議を重ねてきた。平成23年度は、これまで継続して測定してきた簡便な評価項目の他に、文献的に転倒との関連が強いとされるものを取り入れた。各評価項目間の相関と、過去1年間の転倒経験との関連について調査し、次年度以降の評価の効率化を図ることと、今後の課題について考察した。【方法】 平成23年度の転倒予防教室に参加し、全ての評価項目について測定可能であった84名(男性26名、女性58名、平均年齢77.3±6.03歳)を対象とした。測定項目は開眼片脚立位時間、Timed Up and Go Test(以下TUG)、握力、30秒椅子立ち上がりテスト(30-s chair stand test:以下CS-30)、5回立ち上がりテスト(Timed stand test:以下TST-5)、5 step test、5m歩行時間、Life Space Assessment(以下LSA)とした。開眼片脚立位時間は60秒を上限とした。TUG、5m歩行時間は最大努力下で行ってもらい、心理的側面の影響を排した。CS-30、TST-5は高さ40cmで、肘かけのない背もたれ付きの椅子で実施した。5 step testは高さ10cmの台での昇降を5回行う時間を測定した。統計処理は、Pearsonの相関係数を用いた。また、過去1年間の転倒経験の有無を従属変数、相互に相関の低かった評価項目を独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 転倒予防教室の参加者に口頭にて研究内容の説明を行い、文書にて同意を得た。【結果】 TST-5とCS-30の間には高い負の相関(r=-0.87,r2=0.76)がみられた。また、TUGと5m歩行時間(r=0.84,r2=0.71)、TST-5と5 step test(r=0.73,r2=0.53)の間に高い相関がみられた。5 step test、握力、LSAを独立変数として投入したロジスティック回帰分析では、過去1年間の転倒経験の有無に対して有意差はみられなかった。5 step testが握力、LSA以外の評価項目に対して相関がみとめられた(r>0.4)ため、その他の評価項目は独立変数から排除した。【考察】 TST-5とCS-30の間に高い相関があり、測定時間や参加者の負担の面からTST-5の活用が望ましいと思われる。また、5 step testが握力とLSA以外の項目と最も相関関係が高いことが示されたが、測定中の安全性が問題となる場面が見受けられた。TST-5も類似した値で相関関係を認めたため、TST-5での代替が可能であると思われる。TUGと5m歩行時間との間に高い相関関係が認められたことに関しては、TUGが歩行能力の要素を多分に含んでいることが考えられる。ただ、双方とも転倒予測としてのスクリーニングテストとして有用であるとされており、一概に評価項目から削減することは困難である。今回は、評価項目と転倒との関連性はみられなかったが、日常生活そのものが、測定環境とは異なる場面であり、複数課題条件下での活動であるため、それらの因子を含め、今後、前方視的に研究を行うことにより、評価項目と転倒との関連を判別していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 地域在住高齢者を対象とした評価では、特別な機器を用いたり時間をかけたりしないことが望ましい。本研究は、簡便であり、転倒との感度の高い評価項目の判別に向けての当院としての第一歩である。一般的に推奨されている評価項目間の相関をみたこと、今後の課題を示したことに意義はあると思われる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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