理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 ポスター
縦断調査による小学校低学年児童の足部アーチ構造と運動能力の変化
横山 寛子, 尾田 敦, 成田 大一, 鈴木 あおい, 小泉 沙貴
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キーワード: 児童, 足部アーチ, 運動能力
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p. Eb1296

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抄録
【目的】 小学校低学年児童における足部アーチ構造の形成過程と,それが運動能力に及ぼす影響について縦断的に比較し明らかにすることである。【方法】 市内小学校に協力を仰ぎ,平成21年度より同一児童63名(男子32名,女子31名)を対象とし,小学1年時から3年時までの3年間にわたり経時的に調査を実施した。足部アーチ構造の評価として,舟状骨高を足長で除したアーチ高率を算出し,左右のアーチ高率のうち値の小さいものを代表値として用いた。本研究では運動能力の指標として,小学校で実施されている新体力テストの項目の中から,50m走,反復横とび,立ち幅とびの成績を用いた。各学年間でアーチ高率の値に差があるかどうかをTukey検定を用いて検討した。さらに各学年時におけるアーチ高率と運動能力の関係をみるために,アーチ高率の平均値より大きい群と小さい群に分類し,新体力テストの実測値に差があるかどうかを2標本t検定とMann-Whitney検定を用いて検討した。小学1年時から2年時,2年時から3年時の足部アーチの変化率と新体力テストの成績の変化率を比較するために,小学1年時のアーチ高率および新体力テストの実測値を100%として小学2年時と3年時の値を換算し,小学1年時から2年時,2年時から3年時の変化率を算出した。時期によるアーチ高率の変化率に差があるかどうかについて対応のあるt検定を用いて検討した。さらに足部アーチの変化と運動能力の向上の関係をみるために,各時期におけるアーチ高率の変化率と新体力テストの変化率の関連性をPearsonの積率相関係数,Spearmanの順位相関係数を用いて検討した。【説明と同意】 研究実施にあたっては,校長から同意を得て,さらに保護者に対する文書による説明により同意が得られた児童を対象とした。【結果】 対象者のうち欠損値のないものは56名(男子30名,女子26名)であった。各学年におけるアーチ高率の平均値は,小学1年時9.49±2.27%,小学2年時8.51±1.78%,小学3年時9.18±2.01%であり,小学1年時と2年時の間と,小学2年時と3年時の間に有意差を認めた(p<0.01)。各学年時におけるアーチ高率の高低による運動能力の比較では,小学3年時の立ち幅とびで有意差を認めた(p<0.05)が,その他の項目では有意差は認めなかった。アーチ高率の変化率では小学1年時から2年時にかけて49名で減少し,平均で15.44±14.94%減少していた。一方,小学2年時から3年時にかけては32名で増加し,平均で2.57±10.47%増加していた。2つの時期間での変化率は有意差を認めた(p<0.01)。アーチ高率の変化率と新体力テストの変化率の相関は,いずれの時期でも認められなかった。【考察】 アーチ高率は小学1年時に比べ2年時で有意に低下しており,アーチ高率の変化率でも,小学1年時から2年時にかけて約15%減少していた。この時期は舟状骨高に比べ足長の成長が著しく,舟状骨高に対する足長が相対的に大きくなるためにアーチ高率が減少したものと考える。一方で,小学2年時から3年時にかけてアーチ高率は増加傾向にあった。先行研究では男子では6歳,女子では7歳をピークにアーチ高率は減少すると報告され,またfootprintを用いた研究では足部アーチは12歳から14歳まで形成過程にあると報告されている。本研究でアーチ高率の変化が直線的増加を示さなかったのは,足部アーチ形成には身長や体重,足長,舟状骨高を含む骨構造の成長等の様々な要因が影響しているためと考える。今後,学年が上がるにつれどのようにアーチ高率が変化していくのかをみていくことで,足部アーチ形成過程が明らかになるとともに,小学生における適切な足部アーチ構造の評価方法について検討する材料となると考える。アーチ高率の大きさによる運動能力の比較では,小学3年時の立ち幅とび以外では有意差がみられなかった。小学校低学年では足部アーチのみならず身体の成長に伴う足部アーチ以外の要因が運動能力に大きな影響を与えているのではないかと考える。しかし,今回小学3年時ではアーチ高率が大きい群で立ち幅とびの成績が有意に良好であったことより,足部アーチが運動能力に影響を与える可能性があることが示唆された。また足部アーチの変化と運動能力の向上の関連性は有意ではなかった。これは,運動能力は身体の成長とともに直線的に向上するのに対して,足部アーチの形成は前述したように多要因が影響し合い直線的に増加しないためではないかと考える。今後は全体の傾向のみならず,個々人の変化をみていくことで,足部アーチ形成過程と運動能力の変化との関係についてより明確になるのではないかと考える。【理学療法学研究としての意義】 追跡調査を行うことにより,近年遅延しているといわれている小学生における足部アーチ構造の形成過程を明らかにし,低下傾向にある運動能力を向上させるための重要な手掛かりが得られると考えられる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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