理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
会議情報

テーマ演題 口述
生活機能の自立した在宅高齢者の閉じこもり予防に向けた外出支援策の検討
大滝 雄介石原 拓郎大木 雄一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. Ec0382

詳細
抄録
【はじめに、目的】 介護予防事業は厚生労働省における重要な介護予防策の一つとされてきたが、その中でも2006年の介護保険制度改正後、新たに介護予防事業の一つとして盛り込まれた閉じこもり予防は、在宅高齢者の閉じこもりによる要支援及び要介護状態への進行を防止する上で非常に重要である。そこで本研究は、A町に在住する生活機能の自立した在宅高齢者を対象に外出頻度に関連する身体的・心理社会的要因を分析し、閉じこもり予防に向けた具体的な外出支援策を検討することを目的とした。【方法】 対象は平成23年10月現在、A町役場主催の運動教室及び機能訓練教室に参加している在宅高齢者61名(男性11名・女性50名)のうち、65歳以上で生活機能が自立(介護保険未利用で、歩行・食事・排泄・入浴・着替えの基本的日常生活動作5項目及び老研式活動能力指標13項目が全て自立)している42名(男性6名・女性36名)とした。測定項目は、基礎情報として年齢・性別・外出頻度の3項目、身体的要因としてbody mass index(以下BMI)・体脂肪率・握力・等尺性膝伸展筋力(以下筋力)・長座位体前屈・片脚立位時間・Functional Reach Test(以下FRT)・シャトルウォーキングテスト(以下SWT)の8項目、心理社会的要因としてMOS Short-Form 36-Item Health Survey(以下SF-36)の合計12項目とした。外出は「外出先、移動距離、外出目的は問わず、自宅敷地内から外に出る行動」と定義し、「一週間のうち、外出する日は何日ありますか」と尋ね、一週間の外出頻度を求めた。体重,体脂肪率は体内脂肪計(タニタ社製TBF-310)を用いて測定した。握力はタニタハンドグリップメーター6103を用いて測定した。筋力はアニマ社製マイクロFETにて左右2回ずつ測定し、最大値を体重で除した値とした。長座位体前屈は2回測定したうちの最大値を採用した。片脚立位時間は左右2回ずつ測定したうちの最大値を採用した。FRTは原法に準じ、2回測定したうちの最大値を採用した。SWTはシャトルウォーキングテスト日本語版に準じて実施した。SF-36はSF-36V2日本語版を用い、その結果から下位尺度(身体機能・日常役割機能の身体・日常役割機能の精神・身体の痛み・全体的健康感・活力・社会生活機能・心の健康)得点を算出した。統計処理は、外出頻度と各測定項目の単相関係数を求め、有意な相関を示したものを説明変数、外出頻度を目的変数とし、step wize法を用いた重回帰分析を行った。有意水準は全て5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に則り、各対象者に事前に本研究の主旨と個人情報保護を遵守することを文書及び口頭で説明し、同意を得た上で実施した。【結果】 単相関係数において、外出頻度は年齢(r=-0.32)、片脚立位時間(r=0.31)、SWT(r=0.37)、身体機能(r=0.31)、日常役割機能の身体(r=0.37)、日常役割機能の精神(r=0.33)の6項目にて有意な相関を認めた。またstep wize法を用いた重回帰分析では、SWTのみ有意な説明変数として選択された。【考察】 重回帰分析にてSWTが説明変数として最終的に選択されたことから、生活機能の自立した在宅高齢者の閉じこもり予防のための外出支援策は、「運動耐容能の向上に重点を置いた運動プログラムを立案・実施すること」が重要である可能性が考えられた。一方、SWT以外の身体的・心理社会的要因が説明変数として最終選択されなかった理由として、第一に本研究の対象者を「生活機能が自立した在宅高齢者」に限定したため、1人で電車に乗って都内へ買物に行ける方や毎日習い事で外出される方など、身体的・心理社会的な問題をあまり抱えていない方が対象者に多く含まれていた可能性があること、第二に本研究の外出頻度の定義を「外出先、移動距離、外出目的は問わず、自宅敷地内から外に出る行動」としたことで、朝のゴミ捨てや回覧板を隣家に回覧することなども外出頻度に含まれ、外出頻度が多い結果となった可能性があること、の2点が考えられた。また、外出頻度と相関を認めた全ての測定項目において、相関係数は決して高いとは言えず、今後はさらに地域特性等の環境要因も含めた広い視点での検討も必要と考える。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、A町における生活機能の自立した在宅高齢者を対象に外出頻度に関連する身体的・心理社会的要因を分析し、外出支援策を検討することで、生活機能の自立した在宅高齢者の閉じこもりを予防できる可能性がある点で意義のある研究と考える。
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top