理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
学習活動におけるメタ認知能力に対する教育の必要性
─第1報─
片岡 紳一郎中野 禎森 耕平阿曽 絵巳中俣 恵美西井 正樹
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p. Ga0192

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抄録
【はじめに、目的】 理学療法士教育においては、求められる知識や技能が幅広く高度化し、養成期間である3年および4年間で学ぶべき内容は質・量ともに膨大となっている。その一方で入学を希望する学生の基礎学力は、年々低下傾向にあり、益々うまく学べない学生が増加している。また、近年「学校教育」においては、自己教育力、自己学習能力、自己評価能力などの育成に衆目が集まってきており、これらを教育目標として明確化し、かつ育成することが求められている。そして、能力の核となる概念として「メタ認知」が注目されている。そこで本研究では、うまく学べない原因としてメタ認知能力に着目し、教育効果を高める具体的なアプローチ方法を模索する為に、学業成績と学習活動との関係について検討したので報告する。【方法】 対象は本学理学療法学科2年生37名(平均年齢22.4±6.0歳、男性17名、女性20名)とした。先行研究によるメタ認知尺度を参考に、メタ認知知識およびメタ認知活動に関する項目、計20問を質問紙で調査した。質問には5件法を用いて、示された状態に対して自身がどの程度当てはまるかを回答してもらった。調査は前期定期試験終了日に行い、質問紙の回答を得点化し、前期定期試験成績との相関分析を行った。統計処理にはSpearman順位相関係数検定を用い有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の目的を事前に十分に説明し同意を得た後に実施した。【結果】 回収率は97%(37名中36名)であった。有意に相関がみられた項目は6項目であった。(p<0.05)・勉強方法がわかっている(r=0.35)・勉強方法に自信がある(r=0.57)・勉強で何かに失敗した時、うまくいかなかった時、その原因を考える(r=0.34)・スケジュールの立て方を知っている(r=0.35)・スケジュールに変更が生じたら、都度、計画を修正している(r=0.36)・勉強をするとき、次の段取りも意識している(r=0.38)【考察】 勉強方法がわかっているのかどうかの知識、自身の勉強方法に対する自信、失敗原因の探求活動、スケジュールの立て方の知識、スケジュール修正活動、段取りといった項目では、軽度から中等度の正の相関がみられた。これは、定期試験の学業成績が低下するほど、メタ認知能力(メタ認知知識・メタ認知活動)が低いことが示唆され、具体的には勉強方法の方策自体がわからないこと、方策に対する自信が持てないこと、反省・探求のモニタリングや、計画・修正といったコントロールが低下していることが考えられた。よって、学生の学習活動に対するアプローチでは、知識や技能の教授に加え、その根底にあるメタ認知能力を高めることに着目し、そこをアプローチ対象とすることが重要になると推察された。メタ認知は、自分の能力や課題解決の方略に関する知識としてのメタ認知知識と、自己への気づきや反省などのモニタリングと、目標設定や計画・修正などのコントロールを含めたメタ認知活動に大別される。したがって、これらメタ認知能力向上の為には、自己の認知や活動に対して客観視する機会を設けることや、目標設定や計画・修正など問題解決のためのプロセスを実践させながら介入(教示・誘導・介助)を行うこと、そして、何より他者との関わりを通じてフィードバックを与えることで高められるものと考えられる。今後は、教育効果をより高めるためにも、メタ認知能力に対する具体的アプローチ方法の模索・検討が必要であるといえる。【理学療法学研究としての意義】 理学療法士教育における、学生の学習活動に対する効果的な教授方法を見出す一助となるものと考えられる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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