理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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当院における廃用症候群に関する病棟看護師の意識調査
荒木 聡子沖野 さやか室井 真樹稲川 利光
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p. Gb0788

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抄録
【はじめに、目的】 近年、回復期や維持期の病院だけでなく、急性期病院での廃用症候群への対策が期待され、廃用症候群に対するケアやリハビリテーション(以下 リハ)が、障害の予後やADL、QOLを左右すると考えられている。しかし、看護師とリハ科のPT、OT、ST(以下 セラピスト)との目標設定や情報が共有できていないことが多く、リハ中の“できるADL”が病棟での“しているADL”に汎化され難いなどの問題点があげられる。そこで、廃用症候群患者への早期介入のために、看護師とリハ科セラピストの連携を強化する目的で、看護師への意識調査を行った。【方法】 当院の入院病棟看護師399名を対象とする。調査方法は、無記名自記筆質問紙によるアンケートにて実施し、アンケート配布・回収期間は2011年10月3日~21日とする。【倫理的配慮、説明と同意】 本調査の趣旨への同意は、アンケート用紙への回答をもって確認し、回答いただいた内容は、統計処理し、個人が特定できないように十分配慮している。【結果】 回収率は、46.9%(187名)。年代別構成は、20代31.0%、30代50.8%、40代13.9%、50歳以上は3.2%だった。 全27診療科のうち、勤務経験が多かった診療科は、外科36.4%、ペインクリニック科25.7%、消化器内科25.1%、循環器内科21.9%だった。『この半年間において、日勤帯の勤務中に廃用症候群の患者をどのくらいの割合で受け持ったか』という質問に対する回答で、“ほぼ全員”および“半数以上”が31.6%、“半数以下”が51.9%、“全く看ていない”が10.2%だった。看護師の約8割は廃用症候群の患者と接していた。『廃用症候群を感じるのはどんな時か』という質問で、“よくある” 、“時々ある”と回答された項目は、起き上がり動作時90.4%が最も多く、次いで立ち上がり動作時89.8%、車いす移乗時88.8%と動作の場面で感じることが多かった。さらに、入院時に廃用症候群を感じることが“よくある”、“時々ある”と回答した者は75.4%だった。抑うつ症状や食思不振などの運動機能以外の項目も7割程度みられた。また、『廃用症候群の予防的なケアが困難と感じるか』に対し、“感じる”“まあまあ感じる”は72.7%だった。その理由として、「病棟業務が忙しく1人の患者に関わる時間がない」、「病状の悪化や安静度による介入が困難」との回答が多く、その他、「患者の意欲低下」や「病棟での具体的な介入方法が分からない」との回答があった。一方、困難さを“あまり感じない”“全く感じない”は20.9%だった。『廃用症候群の予防を意識し、看護サイドで行っている内容』では、“よく行う”と答えた項目は、口腔ケアや除圧(褥瘡予防)のためのポジショニングなどが多く、動作介入はあまり行われていなかった。『リハの介入を必要としている内容』にて“是非必要”との回答では、歩行練習84.0%、歩行時の補装具の検討81.3%、関節可動域練習の実施79.7%、患者への運動方法の指導75.9%、移乗動作練習74.9%と移動能力の向上に関する回答が多かった。『廃用予防に関してリハ科に望むことは何か』の質問に対し、一番多かったのはADLの介助方法の指導で51.9%、勉強会の実施35.3%、病棟専従化は23.5%、スクリーニング票の作成17.1%だった。その他、「もっと病棟に足を運んで、実際に病棟内の環境やADL状況を把握して欲しい」「情報、目標の共有、協力」「リハ科のカルテの活用方法」という意見もみられた。【考察】 廃用症候群の患者をこの半年間で約8割の看護師が受け持った経験があり、そのほとんどが、“入院時”、“動作時”に廃用症候群を感じていることがわかった。また、入院後の自発性低下や抑うつ状態などの精神変調を感じている看護師も多く、運動機能面だけでなく精神的な面などの多岐に渡るケアが必要であることが窺えた。しかし、急性期病院においては、看護師はケアが必要だと感じながらも、病棟業務が繁忙のために患者一人ひとりに十分な時間を割くことが困難であったり、原病の悪化や安静度の制限により積極的な動作へ繋がるケアが出来ない状況もあるため、リハでの“しているADL” が病棟での“できるADL”に繋がらないことも窺えた。これらを考慮しながら、私達セラピストは、入院時より廃用症候群を意識し、看護師と情報共有や目標を確認し合い、介入していくことが必要である。【理学療法学研究としての意義】 廃用症候群への対応には、看護師と連携を図ることは必須である。そこで、看護師が廃用症候群をどう認識し、ケアしているか、リハ科に対して何を望むかを知ることは、相互の理解を深めるために必要と考える。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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